2019 Fiscal Year Research-status Report
New Approach of Universal Tourism and Regional Formation through the Employment of Persons with Disabilities
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19K23278
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Research Institution | Toyama University of International Studies |
Principal Investigator |
一井 崇 富山国際大学, 現代社会学部, 講師 (00844599)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | ユニバーサルツーリズム / 地域形成 / 主体性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「ユニバーサルツーリズムの新たな展開と雇用を通じた地域形成に関する研究」をテーマとし、近年、政府が主要な成長戦略として掲げる観光分野において「高齢や障害等の有無にかかわらず、誰もが気兼ねなく参加できる旅行を目指す」ものとされるユニバーサルツーリズムを地域形成の視点から検討し、同ツーリズムにおいて観光弱者(社会的支援の客体)として対象化されてきた障害者や高齢者、訪日外国人が持続的、包摂的な地域形成を担う主体となり、地域に質的な発展をもたらすための条件を析出することを目的としている。令和元年度は、年次計画に従い調査、研究を進めている。【研究Ⅰ:ユニバーサルツーリズムの先進事例の比較研究】については、3つの国内調査対象の1つである、高齢者が観光を通じて地域振興を担う徳島県上勝町での事例について調査を実施した。具体的には、同町で高齢者の地域ビジネスを支援する事業者(スタッフおよび代表者)、事業を支援する同町の行政関係者(担当者および現町長)、同町の視察ツアーなど着地型観光を手掛ける事業者、地域ビジネスに携わる高齢者自身に対するインタビュー調査を行い、また視察ツアーにも実際に参加し、実情を把握した。【研究Ⅱ:障害者、高齢者、移住者などの主体性に関する調査】については、当事者の「主体性」に関する文献購読、先行研究の整理を行い、それを踏まえ「観光と福祉の連携による持続可能な地域形成」と題し、日本観光研究学会(第34回全国大会)において学会発表を行った。また、海外調査対象国であるデンマークにて移住外国人を支援する現地NGOに対する予備調査を実施し(所属機関を通じた研究調査)、本調査(次年度)に向け関係性を構築した。【研究Ⅰ、Ⅱ】の調査結果については、現在執筆中の日本観光研究学会学会誌への論文投稿に反映させる予定であり、令和2年度の調査および本研究の更なる深化につなげたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に比べ、若干順序等に変更はあるものの、全体のスケジュールとしてはおおむね順調に進展している。国内調査①については採択直後の令和元年・秋を予定していたが、より周到に事前準備を行うために調査時期を次年度に変更した。学会発表①については、調査の分析視角をより明確にするため、当初予定の令和2年5月(地域社会学会)から令和元年12月(日本観光研究学会)に変更し、発表での指摘などを踏まえ国内調査②を令和元年3月に実施した。また、学会発表①、国内調査②を踏まえ、投稿論文①については日本観光研究学会学会誌への投稿(令和2年度内)に向け執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い、令和2年度は引き続き国内調査②(北海道)、海外調査①(デンマーク)を実施する予定である。ただし、年初からの新型コロナウィルスの影響で調査対象の視察受け入れの可否、出入国制限などの影響で現時点では見通しが立たない状況である。【研究Ⅰ】の国内視察①については、令和2年9月に調査を実施予定であるが新型コロナウィルスの状況を見極めながら調査先とも緊密に連絡を取り対応する。また、【研究Ⅱ】の海外調査①についても、新型コロナウィルスが一時蔓延していた欧州ということもあり、現地の状況が国内以上に流動的であることが予想されるため、現在のところ年度末の令和3年2~3月を前提にスケジュールの調整を行っている。海外調査①を踏まえた学会発表②については、調査が前提となり、調査時期が年度末になる予定であるため、研究紀要等への論文掲載、あるいは3月初旬に開催予定のユニバーサルツーリズムに関するシンポジウムでの発表等、柔軟に対応したい。
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Causes of Carryover |
先行研究と理論的枠組みの整理を行うための関連書籍、PCなど機器類の購入による研究環境整備は既に一通り終えており、次年度については主に関連文献、資料の整理を引き続き行うとともに、調査を実施する予定である。初年度予定していた調査については、国内1か所で既に実施した。残る2か所(国内1か所、海外1か所)については、新型コロナウィルス等の影響を鑑み、次年度実施することとした。調査対象の受け入れ状況にもよるが、国内については次年度(2020年)9月を、海外については次年度(2021年)2月~3月にかけてを予定しており、調整を進めている。
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