2019 Fiscal Year Research-status Report
通常学級における集団随伴性に基づく支援による援助行動と学業成績への効果の検討
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19K23284
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
岩本 佳世 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 助教 (90846536)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 通常学級 / 集団随伴性 / 学業成績 / 低成績児童 / 協同学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、小学校通常学級での国語の授業において、集団随伴性に基づく支援についての実践研究を行った。公立小学校3年の通常学級1学級において実施した。学級の児童数は35名であった。学級には、通級(発達障害)による指導を児童3名が受けており、自閉症・情緒障害特別支援学級に在籍する児童1名が交流していた。支援開始前に実施されたhyper-QUでは「親和的なまとまりのある学級集団」と判定された。通常学級での国語の授業における漢字テスト場面で実施した。学級全児童の標的行動を援助報告とし、漢字の覚え方に関する援助行動を紙に書いて担任に提出すること、と定義した。支援開始前に漢字テスト成績が70点未満であった児童6名を低成績児童とした。各条件を交互に入れ替えるABABデザインを用いた。A条件はトゥートリング手続きと集団随伴性に基づく支援、B条件はトゥートリング手続きであった。集団随伴性に基づく支援では、児童が援助報告をした紙を提出した場合は、シールを1枚もらえることとした。学業成績は、漢字テストの成績を分析対象とした。その結果から、援助報告数、援助行動、及び低成績児童の学業成績との関連について分析を進めており、令和2年8月開催の日本行動分析学会第38回大会で、研究結果の一部についてポスター発表する予定である。 令和2年度は、「親和的なまとまりのある学級集団」と判定されなかった通常学級を対象に、相互依存型集団随伴性に基づく支援に関する実践研究を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、小学校通常学級を対象に集団随伴性に基づく支援を実施し、学級全児童の援助行動、及び低成績児童の学業成績への波及効果を検討することを目的としている。以下の理由から、おおむね順調に進展している、と判断できる。 令和元年度に研究協力校が見つかり、小学校通常学級の国語の授業場面でのデータを収集済みであり、その結果を令和2年度に学会発表し、論文としてまとめる予定である。また、令和2年度に実施する予定の実践研究についても、関係者から研究協力の承諾を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、以下の研究活動を予定している。 1.令和元年度に実施した「親和的なまとまりのある学級集団」と判定された通常学級への集団随伴性に基づく支援の効果を検討した実践研究について、令和2年8月開催の日本行動分析学会第38回大会で発表するとともに、論文にまとめ投稿する。 2.「親和的なまとまりのある学級集団」と判定されなかった通常学級を対象に、相互依存型集団随伴性に基づく支援に関する実践研究を行い、援助報告、援助行動、学業成績への効果について分析する。 上記の研究計画については、すでに上越教育大学研究倫理審査委員会の承認を得ている。
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Causes of Carryover |
令和元年度に予定していた国際学会への参加が、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、見合わせることとなった。従って、旅費の支出が少なかった。令和2年度は、国際学会で発表する予定であり、未使用額はその旅費や発表費に使用する予定である。
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