2020 Fiscal Year Research-status Report
通常学級における集団随伴性に基づく支援による援助行動と学業成績への効果の検討
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19K23284
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
岩本 佳世 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 助教 (90846536)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 小学校 / 通常学級 / 集団随伴性 / 援助行動 / 学業成績 |
Outline of Annual Research Achievements |
第1の目的であった、通常学級全児童の援助行動の変容については、2020年7月に教育心理学研究に論文を投稿し、2021年9月発行の第69巻第3号への掲載が決定した。この論文では、仲間の向社会的行動を報告するトゥ-トリング(Tootling)手続きと相互依存型集団随伴性に基づく支援を組合せることにより、学級全児童の援助報告行動が促進されることを明らかにした。具体的には、X年9月からX+1年2月までの期間に、朝学習場面を中心に実施した。対象者は、公立小学校5年の通常学級2学級の児童であった。児童数は、各々29名であった。学級全児童の標的行動を援助報告とし、同じ班のメンバーからあった声かけの内容を、8時30分までに紙に書いて担任に報告すること、と定義した。援助報告をした児童の割合は、「援助報告をした児童数」/「出席児童数」×100の算式によって求めた。1学級について班ごとに児童の行動観察を行い、援助行動について一班あたりの平均生起回数を計測した。その結果、BL期では2学級ともに多くの児童が援助報告を未遂行であったが、支援期では2学級ともに援助報告をした児童の割合が大幅に増加した。また、BL期と比較して、支援期では、援助行動の平均生起回数が約40倍に増加した。 第2の目的であった、学級内の低成績児童の学業成績への検討については、公立小学校3年の通常学級1学級(35名)を対象に、実践研究を行い、データ収集を終えている。この実践研究のデータ分析を進め、研究成果としての論文の投稿を準備している。また、研究結果の一部については、日本行動分析学会第38回大会でポスター発表を行い、児童の援助行動と学業成績との関連についての考察を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた実践研究が新型コロナウイルスの影響で中止となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究結果の内的妥当性を高めるため、参加者数を増やし、学級間多層ベースラインデザインを用いて集団随伴性に基づく支援による効果を検討することを予定している。今後の状況により、支援手続きの一部を変更する、研究デザインを変更する、といった方策を立てている。
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Causes of Carryover |
2020年度に実施する予定であった実践研究2つのうち、1つは実施することができたが、もう1つは新型コロナウイルスの影響により、実施することができなかった。2021年度は、支援手続きの一部を変更し、実践研究を行うことを予定しており、データ収集・分析の作業が必要となる。未使用の予算額は、その用途で使用する。
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