2019 Fiscal Year Research-status Report
グローバル人材を育む多文化共生社会で必要な社会科概念学習の研究
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19K23292
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
新谷 和幸 長崎大学, 教育学部, 准教授 (70846104)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 概念 / 概念カテゴリー化学習 / グローバル人材育成 / 探究学習 / 社会科教育 / 安全・安心 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,社会変化や社会問題につながる「日本と海外で意味内容の異なる概念」に着目し,概念の必要性を実感できる学習方法を活用しながら授業モデルを構築することを目的とする。初年度では,①本研究に適合可能な概念の選定,②その授業モデル案の検討,③選定概念を用いた授業開発・実践による分析・検討の3点を行った。 まず,本研究に適合する概念については,社会的・学術的観点から調べ検討し,「責任」「安全」「寛容」などの複数の概念を選定できた。その内,自然災害の多発によって近年注目されている安全概念に着目し,自らの実践や社会科教育学における先行研究を振り返るとともに,社会諸科学や学術専門分野における「安全」の概念的扱いについて調査した。その結果,安全工学の研究分野において,人々の安全の捉え方の違いや「安心」も含めた安全の概念定義に関する研究が行われており,多くの知見が得られた。 次に,授業化する上でのモデル構築に関しては,本研究で活用する概念カテゴリー化学習の学習方法理論を基に,複数の意味内容の理解に適した学習類型(「抽象-具体型」)を選定し授業構成した。その後,授業を開発・実践した内容や子どもたちの記述内容の分析を検討した結果,子どもたちは自分たちが意識する安全と社会で示す安全の違いを起点に課題探究していくことで,日本の一般的な安全と世界基準の安全の意味内容の違いや安全基準のグローバル化に気づき,概念の社会における重要性を捉えることができた。その内容を全国社会科教育学会で発表した。 「日本と海外で意味内容の異なる概念」を明らかにし,その内の1つを取り上げ授業モデルを構築し子どもの反応から有効性を伺えたことが,初年度の研究意義と言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時,初年次に行う予定であった,①日本と海外で意味内容の異なる概念の選定,②選定概念を用いた授業モデルの検討,③授業開発・実践についての分析・検討をいずれも行うことができ,初年度の一部成果を学会発表することもできた。別の概念での授業構成も取り組んでいたが,社会状況もあり授業実践がかなわなかった。また,初年度の研究成果について論文化をめざしていたが,間に合わなかった。総合的に判断すれば,おおよそ予定通りの進捗状況と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,安全概念とは異なる概念を取り上げ授業化をめざす。これにより,再度授業モデルの検討を図り,授業開発・実践の分析・検討を継続的に行うことで,本研究の有効性を実証できるように進めていく。できる限り選定した概念は授業化できるよう努めていく。また,学会発表だけでなく,学術論文や紀要への投稿を行い,様々な場を通して本研究への示唆を得られるように取り組んでいきたい。
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Causes of Carryover |
3月初旬の1週間,学校現場での授業実践を予定していたが,新型コロナウイルスの影響によって休校になったためその旅費の執行ができなくなり,次年度使用額が生じた。新型コロナウイルスの影響による休校が解除され,学校現場からの授業実践の許可が下りれば,授業実践を行い予算の執行を行う予定である。
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Research Products
(1 results)