2021 Fiscal Year Research-status Report
台湾における住民主導の地域づくり実践を通じた市民社会形成に関する研究
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19K23297
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山口 香苗 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 助教 (80843896)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 学習 / 地域づくり / 市民社会 / 台湾 / 福祉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、台湾の生涯学習施設である社区大学、住民自治組織である社区発展協会に着目し、住民の学びを通じた地域づくりの実態を明らかにし、台湾社会が目指す市民社会のあり方を考察することを目指すものである。 昨年度までの研究において、社区発展協会が地域の福祉拠点となっていたり、行政のプロジェクトを受託する組織になっていたりと、それぞれの社区(地域)の特色に合わせた活動を行う、極めて多様な組織であることが明らかとなった。役割が多岐にわたるため、一体、社区発展協会とはどのようなものなのかを改めて整理すべく、本年度は社区発展協会の成り立ちなどの歴史面に関する先行研究の分析を中心的に行った。 台湾で提出された社区発展協会に関する学術論文の論考を中心に分析すると、行政末端組織であり、長が選挙によって選ばれる「里」と社区発展協会の関係性が、社区の発展に影響を与えることが指摘されている。つまり政治の影響が社区発展協会の運営や、社区発展のための活動にも反映されることが度々指摘されている。しかし、環境問題や地域福祉、家庭教育など、党派を超えた地域課題に対応するためには、社区発展協会が果たす役割が大きいことが指摘されている。課題として、福祉、教育、環境、産業などの地域課題の解決や対応に、社区発展協会が果たす役割が期待されてきたもの、そして現在実際に社区発展協会が担っている役割を整理し、そこに住民がどのように関わっているのか分析することがあげられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの拡大により、当初計画していた実地調査はすべて中断となり、本年度も再開できなかったため。また、研究の方向性を文献分析を基礎とする歴史的な検証へと切り替えており、これにより研究計画の再調整を行なったため。
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Strategy for Future Research Activity |
実地調査が再開できないため、引き続き、「社区発展協会」とは一体どのようなものなのか、社区における機能や位置づけは何かについて歴史面から明らかにしていく。 その際、「社区発展協会」の成立経緯、性質、位置づけ、課題等を、台湾の専制政治から民主化という社会変化を背景におきながら考察していく予定である。
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Causes of Carryover |
実地調査の再開不可、および学会が引き続きオンライン開催となり旅費の支出がなかったため。 残額は、学会が対面となった場合の旅費、および研究遂行に必要な物品(データ保存用ディスクや機器、文具、文献等)を購入する予定である。
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