2021 Fiscal Year Research-status Report
非正規教員の任用実態とその特質に関する研究―常勤・非常勤講師「不足」をめぐって―
Project/Area Number |
19K23305
|
Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
原北 祥悟 崇城大学, 総合教育センター, 助教 (70850402)
|
Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
|
Keywords | 非正規教員 / 専門性 / 臨時免許状 / 助教諭 / 身分保障 / 教員免許制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、非正規教員の任用実態とそこに見られる特質を明らかにすることを目的としている。非正規教員の任用実態は今日の教員不足と深く関連している。教員不足への対応の一つとして、教員免許状を有さない者へ臨時免許状を発行するという事態が拡大しつつある。これは、教員の身分保障だけではなく免許制度に支えられている専門性にも大きな影響を及ぼしている。このような動向はこれまでの教員法制の改正によって引き起こされていることに鑑み、本年度は80-90年代の新自由主義的な教育政策に関して教員の身分保障や専門性概念がどのように捉えられてきたのか、制度・政策史の観点から分析を行った。 学校の活性化に社会人の活用が欠かせないとする論理から特別免許状制度や特別非常勤講師制度が創設されることを皮切りに、少人数学級やティームティーチングといった取組を実現するための人的リソースとして非常勤講師の任用が正当化されていくプロセスの一端を明らかにした。この分析結果は日本教育法学会2021年度秋季研究集会で口頭発表するとともに、『現代思想』(2022年4月号:青土社)に掲載された。 非正規教員の任用をめぐる問題は、教職の専門職性や専門性をどう再定位するかという問題と密接に関わっている。今後は専門職性や専門性という観点から非正規教員の任用実態を分析・考察していく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍において史資料収集や研究交流・ヒアリング等、現地調査に大きな制約がかかっているためである。
|
Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の影響により現地調査が困難な場合は可能な限りオンライン等で代替する。非正規教員の任用にかかる史資料については散逸しているだけでなく、今日の教師不足とも深く関連していることに鑑み、特徴的な自治体を改めて選定することで効率的に収集することを目指す。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍により現地調査や学会大会等が中止になったため、予定していた旅費の執行が滞ったことが大きな理由である。次年度はコロナ禍も落ち着き、県外での調査が比較的容易になっていることから、今年度予定していた現地での史資料収集等を本格的に実施することで予算を執行する予定である。
|
Research Products
(2 results)