2021 Fiscal Year Research-status Report
授業研究における授業記録のエビデンスとしてのあり方に関する日独比較研究
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19K23316
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松田 充 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 助教 (80845991)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 授業研究 / 授業研究アーカイブ / 教授学 / 教師教育 / ドイツ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、授業研究における授業記録の機能と役割を明らかにすることを目的としている。2021年度は、この目的に向けて主に二つのことに取り組んだ。一つは、ドイツの実証的な授業研究の中で用いられる研究方法論とそれに対応した授業記録の作成方法である。ドイツでは授業研究の中で様々な質的な研究方法論が用いられている。特に談話分析を研究方法論として用いるN.Rickenの授業分析について検討し、その成果を日本教育学会において研究発表を行った。さらに日本教育方法学会において、A.Baltruschatが取り組む教授学的授業研究について、その授業記録のあり方に分析の視点がどのように反映されているのかを分析し、その成果を発表した。 もう一つは、授業研究アーカイブに保存されている授業記録の活用方法である。2020年度に行ったドイツにおける授業研究アーカイブの設置状況を下敷きに、授業研究アーカイブに保存されている授業記録が教師教育の文脈においてどのように用いられているのかを実践報告をもとに分析を行った。教師教育における授業記録の活用の方向性は大きく二つに分かれる。一つは、授業記録をもとに教育実践を批判的に分析するものであり、もう一つは、授業記録に表れる教師の教授行為や学習行為を分析することで、実践的な力量の形成につなげようという方向性である。前者については、主に社会学的な研究方法論を基礎にした授業研究と関連しており、後者は、心理学的な授業研究と関連していることを指摘した。この成果は中国四国教育学会において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アーカイブに保存されている授業記録が、実際にどのように活用されているのかを具体的な大学での教育実践を視察し、それを分析することを計画しているが、COVID-19の影響によりできていない。それ以外の研究計画については順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
授業研究アーカイブにおける授業記録の活用方法について、ドイツに訪問し調査を行う。具体的には、フランクフルト大学とハノーファー大学に訪問することを計画している。しかし、COVID-19の影響により訪問等が難しい場合は、すでに行っている実践報告の分析とメールでのインタビューによって、これを代替することを計画している。
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Causes of Carryover |
ドイツ調査を予定しており、それがまだ実施できていないため。ドイツへの渡航費として使用する予定である。
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Research Products
(7 results)