2019 Fiscal Year Research-status Report
教員志望大学生対象にアーギュメントを小学校理科で指導する能力育成プログラムの開発
Project/Area Number |
19K23325
|
Research Institution | Osaka University of Health and Sport Sciences |
Principal Investigator |
神山 真一 大阪体育大学, 教育学部, 講師 (40846531)
|
Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
|
Keywords | アーギュメント / 小学校理科授業 / 指導能力育成プログラム / 教員志望の大学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は,教員志望大学生対象にアーギュメントを小学校理科教育に導入するための指導能力育成プログラムを開発する条件整備の段階(第1期 第1,2段階)であった。 第1期,第1段階は,理論的検討であり,国内外の理科・科学教育関連の学会(ESERA2019,日本理科教育学会第69回全国大会,第43回日本科学教育学会年会,2019年度日本科学教育学会研究会(若手活性化委員会開催))に参加し,アーギュメント指導に関する最新の研究から情報収集を行ったり,連携協力者や理科教育関連の研究者から研究に関する助言を受けたりして,アーギュメントを小学校理科教育に導入するための指導能力育成プログラムに必要な要件を調査した。 第1期,第2段階は,プログラム試案の開発であった。小学校児童のアーギュメント構成能力育成のために開発したカリキュラムをベースに,教員養成における実践研究(山本・神山,2017)の知見を加えながら,アーギュメントを小学校理科教育に導入するための指導能力育成プログラムの試案を作成し,教員志望大学生に事例的に導入した。プログラムの構成は,アーギュメントの定義と意義についてのレクチャー,児童のアーギュメントの実態に関するレクチャーと演習,アーギュメントの指導と評価について体験的に理解する演習,小学校で実際に行われたアーギュメント指導の概観ができる演習,学生ら自らで授業を立案して実践する模擬授業の実施の5つであった。プログラムの評価は,学生に対する質問紙調査やアーギュメント構成課題,アーギュメント評価課題を実施して行った。 これらの分析から得られた知見については,日本理科教育学会第69回全国大会でポスター発表したり,学術論文として日本理科教育学会の『理科教育学研究』(審査中)やIOSTE2020(審査中)に投稿したりした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アーギュメントを小学校理科教育に導入するための指導能力育成プログラムの開発について,次の3点からおおむね順調であると判断した。 第1に,情報収集の面からは,国内外の理科・科学教育関連の学会に参加しつつ,連携協力者や理科教育関係の研究者から助言を受けながら,アーギュメントを小学校理科教育に導入するための指導能力育成プログラムに関する研究動向を調査することができた。また,調査内容は『理科教育学研究』に投稿中の論文としてまとめることができた。 第2に,アーギュメント指導に必要な要件を整備して,プログラム内の各Activityを決定して事例的に教員志望大学生に導入できた。 第3に,アーギュメントを小学校理科教育に導入するための指導能力育成プログラムの試案について,学会発表で公表し,また,『理科教育学研究』にプログラムの評価を投稿した。それらにより,さらに指導能力の育成を充実するためのプログラム開発の準備を整えることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は,第2期として,第1期の研究をすすめ,教員志望大学生を対象としたアーギュメントを小学校理科教育に導入するための指導能力育成プログラムの改善版を開発する。具体的には,第1期で明らかになった以下2点の課題を克服するActivityを伴うプログラムを開発し,それぞれの活動からプログラムの有効性を検証する。 第1期で明らかになった課題は,第一に,科学的な知識を使って正しく理由付けをすることができるようにする支援を考案することであり,第二に,証拠を適切に,十分に挙げられるようになる支援を考案することである。 最終まとめの第3期では,改善版プログラムの導入研究における分析を総括して,プログラムに関する総合考察に取り組む。それぞれの段階で得られた研究成果については,日本理科教育学会『理科教育学研究』に投稿するほか,「日本理科教育学会」「日本科学教育学会」の年会や全国大会,海外の学会などで発表を行う予定である。
|