2020 Fiscal Year Research-status Report
"Guaranteeing the Right of Development" for Children with Motor and Intellectual Handicapped in Biwako Gakuen : Exploring the concept of "Yoko-eno-Hattatsu"
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19K23327
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Research Institution | Kobe Shoin Women's University |
Principal Investigator |
垂髪 あかり 神戸松蔭女子学院大学, 教育学部, 講師 (00848947)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | ヨコへの発達 / 重症心身障害児 / びわこ学園 / 発達保障 / 実証 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.研究協力先である重症心身障害児施設びわこ学園における「ヨコへの発達」の展開過程について明らかにするために、学園における直近の実践(2009年から2019年)を整理した。同時期に発行された『びわこ学園実践研究発表会資料』を収集し、施設利用者が高齢化し、障害が重度重症化する中で、「いのちと暮らしの寄り添う支援」を掲げて療育実践に取り組んだ2010年代の「びわこ学園」の発達保障の思想と実践について分析・考察した。 2.1.の成果を「重症心身障害児施設『びわこ学園』における発達保障の思想と実践-2010年代における『いのちと暮らしに寄り添う支援』の内実-」と題して、神戸大学大学院人間発達環境学研究科,『神戸大学大学院人間発達環境学研究科研究紀要』,第14巻1号,pp.1-14 に報告した。 3.研究協力先である重症心身障害児施設びわこ学園を訪問し、特定の療育現場を継続的に参与観察した記録をエピソード記述により分析した(訪問は2019年度に実施)。同時に、療育場面に関わっていた職員(心理職、生活支援員)に聞き取り調査を行っていた。これらの結果を総合的に分析し、重症心身障害者の「ヨコへの発達」を職員らがどのように捉え、療育的関わりに生かしているのかについて明らかにした。 4.3.の結果を、「エピソード記述の特別支援教育学研究への援用可能性―重症心身障害児施設における療育実践の検証をとおして―」(日本教育学会第79回大会)、「びわこ学園における「発達保障」思想の実践化過程―重症心身障害児者の「本人理解」に焦点を当てて―」(日本特別ニーズ教育学会第26回研究大会)と題して報告した。 5.1から4.の成果から要点を抽出し、『糸賀一雄研究の新展開 ひとと生まれて人間となる』(三学出版)第3章に執筆、編者として本書の作成に関わり、公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染拡大により、2020年2月・3月からは研究協力先である重症心身障害児施設びわこ学園への訪問を休止しており、実践場面の参与観察、職員へのインタビューを延期しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.コロナ感染拡大の状況が許せば、施設職員への聞き取り調査を行う。昨年度実施できなかった実践場面の参与観察については、書面でのアンケート調査に切り替え、重症心身障害児者の〈ヨコへの発達〉の受けとめ、生活支援員、看護師など職種の違いによる〈ヨコへの発達〉の受けとめの共通点と違いやズレについて分析する。 2.コロナ禍で実践現場への参与が規制されている分、実践報告集や「びわこ学園便り」など、公刊書物による実践分析を行う。2019年度、2020年度に公刊されたこれらの資料を収集、分析し、重症心身障害児者における〈ヨコへの発達〉を保障する療育実践について整理、分析する。
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Causes of Carryover |
2019年度終盤から2020年度終わりまでは、コロナ禍により研究協力先への訪問が全くできなかった。そのため、旅費は全く使用できなかった。また、実質的にデータ収集もできなかったため、謝金、その他も使用することができなかった。次年度は、訪問しない形でもデータ収集が進められるよう研究計画を変更し、郵送やオンラインによるやりとりで調査を継続していく予定である。そのため、通信費や郵送費、アンケート調査にかかる費用、謝金等を使用する計画である。具体的な計画は次の通りである。1.研究協力先へのアンケート調査実施(8月):物品費としてアンケート調査に係る書籍購入、データ保存機器購入、アンケート用紙等の文具購入、郵送費を使用予定。2.研究協力先への謝金(9月):研究協力者への謝金として図書カードを購入。3.コロナ感染拡大の状況をみて、研究協力先に訪問可能となった場合は、研究協力先への旅費を使用する予定である。
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Research Products
(5 results)