2020 Fiscal Year Research-status Report
コンディヤックの教育思想研究―君主教育論と感覚論哲学をつなぐ試み
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19K23328
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Research Institution | Takarazuka University of Medical and Health Care |
Principal Investigator |
中田 浩司 宝塚医療大学, 保健医療学部, 講師 (90846362)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | コンディヤック / 教育思想 / 君主教育論 / 言語教育論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の主たる方向性は、コンディヤックの教育論である『パルマ公国王子のための教程』を丹念に分析することによって、1)コンディヤックの教育思想の全容を解明すること、2)18世紀フランス教育の歴史および君主教育論(君主の鑑)の歴史にコンディヤックの教育論を位置付ける、ことである。 2020年度は、上記1)のなかでも、コンディヤックの君主教育において主たるテーマとなる言語教育や修辞学教育に関する著作群について徹底的に検討することを自らの研究課題として設定した。そして、日本フランス語フランス文学会関西支部会において、「コンディヤックの言語教育論」という題目で口頭発表を行った。くわえて、大阪大学大学院の山上浩嗣教授が主宰する「フランス近世の<知脈>」という研究会の第7回例会において「コンディヤックの修辞学教育」という題目で口頭発表を行った。以上のことから、昨年度より行ってきたコンディヤックの言語思想がその言語教育、修辞学教育にどのような影響を及ぼしたかを明らかにすることができた。 また、2)に関して、論文「コンディヤックの歴史教育」(『宝塚医療大学紀要』第7号)および「コンディヤックの言語教育論」(『関西フランス語フランス文学』第27号)をそれぞれ投稿した。これらの論文においては、君主教育論の歴史のなかに、コンディヤックの言語教育論や歴史教育論を位置付け、コンディヤック がいかにして伝統を踏襲したか、さらには、その独自性を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の拡大という状況において、オンラインによる口頭発表を行い、論文を発表することができた点は評価できる。しかしながら、海外渡航の自粛のため2020年9月に予定していたフランスでの海外調査を断念せざるをえなかった。そのため、当初計画していたフランス国立図書館などでの研究・資料収集が全くできなかったという点で本研究課題の推進がやや遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も上記の二つの方向性に即して研究を推進していく。 1)については、コンディヤックの言語教育の中でも特に、文法教育に焦点を絞りながら先述の「フランス近世の<知脈>」研究会の例会において口頭発表を行う予定である。さらには、修辞学教育に関して、研究論文を学内紀要に発表すべく準備中である。 2)については、関連学会における口頭発表を計画中である。 なお、新型コロナウイルスの感染拡大状況が収束したら、フランス国立図書館での研究調査を実施したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大により、当初計画していたフランス国立図書館への調査研究を行うことができなかった。また、国内の学会に関しても中止あるいはオンラインでの開催となった。以上のことより、予算として計上していた旅費が0となった。 新型コロナウイルス感染症が収束すれば、海外での調査研究旅行のための旅費、国内外学会参加費に支出予定である。また、書籍費としても使用する予定である。
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