2022 Fiscal Year Research-status Report
コンディヤックの教育思想研究―君主教育論と感覚論哲学をつなぐ試み
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19K23328
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Research Institution | Kansai University of Social Welfare |
Principal Investigator |
中田 浩司 関西福祉大学, 教育学部, 講師 (90846362)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | コンディヤック / 18世紀フランス教育思想 / 君主教育論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の主たる方向性は、コンディヤックの『パルマ公国王子のための教程』を分析し、コンディヤックの教育思想の全容を解明し、18世紀フランス教育史ならびに君主教育論(「君主の鑑」)の歴史にコンディヤックの教育論を位置付けることである。 2022年度は、とくにコンディヤックの教育方法に関する研究を行った。日本フランス語フランス文学会関西支部会において、「コンディヤック『パルマ公国王子のための教程』における『方法』」と題する発表を行い、コンディヤックの哲学的著作『人間認識起源論』における教育論の萌芽を確認し、『教程』における教育思想を検討した。そして最終的には、そこから抽出されるコンディヤックの教育における「方法」について考察した。なお、本発表は、『関西フランス語フランス文学会』(第29号)に論文として掲載されることとなった。 さらに、コンディヤックの君主教育において主たるテーマとなる言語教育ならびに文法・修辞学教育に関する著作群を検討するために、とくに『書く技術』について綿密な分析を行うことを自らの研究課題として設定した。大阪大学大学院の山上浩嗣教授が主宰する「フランス近世の<知脈>」研究会第9回例会(2023年2月において「コンディヤック『書く技術』における文体の教育」という題目で口頭発表を行い、とくに国内の18世紀研究者より有益な助言を得ることができた。 このような研究活動より、コンディヤックの教育思想および言語教育について実証的に提示する基盤を確立することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の拡大という状況において、口頭発表を行い、論文を投稿したことができた点は評価できる。しかしながら、新型コロナウイルス感染症が収束せず、フランスでの海外文献調査を断念せざるをえなかった。そのため、当初計画していたフランス国立図書館などでの研究・資料収集が全くできなかったという点で本研究課題の推進が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はコンディヤックの感覚論哲学や哲学的方法論がいかにしてその教育論に反映されているか、つまり、『人間認識起源論』と『感覚論』において展開された「認識のメカニズム」や「分析の方法」あるいはコンディヤックの哲学の最も主要な概念である「観念結合」がその教育論においてどのような役割を果たしているかに焦点を絞って研究を行う。また、関連学会や先述の「フランス近世の<知脈>」研究会の例会において口頭発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大により、当初計画していたフランス国立図書館への調査研究を行うことができなかった。また、国内の学会に関してもオンラインでの参加となった。以上のことより、予算として計上していた旅費が0となった。 新型コロナウイルス感染症が収束すれば、海外での調査研究旅行のための旅費、国内外学会参加費に支出予定である。また、書籍費としても使用する予定である。
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