2019 Fiscal Year Research-status Report
小学校における議論を展開する力の育成に向けた指導内容の整理と指導法の開発
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19K23342
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
北川 雅浩 熊本大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (10846869)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 議論を展開する力 / 話をつなぐ / グループディスカッション / 話すこと・聞くこと / 小学校国語科 |
Outline of Annual Research Achievements |
議論を展開する力を系統化し,育成モデルを作成するために,3点について取り組んだ。 第1点は,小学校低学年で育成すべき資質・能力の精緻化に取り組んだ。学習指導要領に示した「話をつなぐ」を具体化し,その下位的な言語行為(受け止め,復唱,質問,言い換え等)を明らかにした。また,それらは成人,小学校高学年,中学年,低学年でのグループディスカッションにおいて出現の仕方にどのような違いがあるかについて臨床的な調査を実施した。この結果は,対象とする小学校低学年における指導事項の明確化や順序性を検討する際に示唆の得られるものであった。この成果を研究論文として,全国大学国語教育学会及び熊本大学教育学部国文学会に提出した。 第2点は,小学校低学年で「話をつなぐ」ことを可能とするための実践開発である。葛飾区立中之台小学校の協力を得て,ワークショップ型授業を実施し,その効果を検証した。また,東京都小学校国語教育研究会話すこと・聞くこと部の協力を得て,小学校1年生における授業開発と検証を行った。小学校低学年の実態から,短いアクティビティを重ねていくワークショップ型授業の有効性が示唆される結果となった。 第3点は,小学校高学年における「全体に問いかける」発話のディスカッション内における機能を実証的方法で明らかにして研究論文にまとめ,熊本大学教育学部研究紀要に収録した。 以上の取り組みにより,小学校低学年での指導内容と方法を開発したことで,低学年と高学年での指導事項のつながりが明らかになってきた。議論を展開する力として一貫した指導の可能性が具体化されてきたことが2019年度の大きな成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
【研究実績の概要】に示した通り,小学校低学年については指導事項と指導方法を明確にすることができた。また,その成果の公表も進められている。既に研究が進んでいた小学校高学年についても,より詳細な検討を加えることができた。一方で,以下の2点については予定通り進められなった。 第1点は,2020年の3月に予定していた海外視察が,感染症拡大のためキャンセルとなり,示唆を得ることができなかったことである。2020年度内に状況が整えば,実施することとなっている。 第2点は,2020年度に入ってから小学校現場での臨床的調査実践が行えていないため,小学校中学年についての検討が進められていないことである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,6年間の育成モデルを設定し検討すること,小学校中学年での指導内容と方法を〈司会力〉と関連させながら検討していくことを課題としている。しかしながら,現在,小学校での臨床的調査実践が行えない状況であるため,当面は,現在保有している話し合いのデータを対象として分析を進め,仮モデルを作成する。状況が整いしだい,協力を依頼して臨床的な研究に取り掛かることとする。
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Causes of Carryover |
令和元年度,オランダ王国への視察を予定していたが,感染症予防のためキャンセルとなり,一部の費用が使用されなかったため。
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Research Products
(3 results)