2019 Fiscal Year Research-status Report
感化院・少年教護院における障害児教育実施への模索―地域社会との連携に着目して―
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19K23343
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Research Institution | Niimi College |
Principal Investigator |
立浪 朋子 新見公立大学, 健康科学部, 講師(移行) (30845392)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 感化院 / 石川県 / 不良少年 / 特別学級 / 養護学級 / 精神薄弱児 / 地域社会 / 学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、不良少年を対象としていた戦前における感化院・少年教護院が障害のある子どもへの教育を模索した過程を、地域社会や学校との関わりに着目し明らかにすることを目的とする。なかでも、後援機関の早期設立など早くから地域社会の支援を取り入れていたと考えられる、石川県、富山県の感化院・少年教護院に焦点をあてる。 初年度は研究対象地域における当時の社会事業雑誌、感化院・少年教護院の全国誌、施設の関連資料等を用いて、地域社会や学校との関わりを究明した。学校との関わりについては当時の特別学級との関わりを検討することが必要であったため、特別学級についても先行研究の整理および一次資料の分析を行った。 結果は次のとおりである。石川県の感化院である石川県育成院では、方面委員、小・中学校長、行政関係者、託児所保母、住職といった地域の関係者と懇談会を開催しており、そこで不良少年の早期発見および早期の教育・保護の方法、不良化原因、幼児期における不良化傾向、家庭の役割などについて話し合われていた。これは、感化院が不良少年の早期の発見および教育・保護のためには地域社会の協力が必要と認識していたことが背景にあった。また、特別学級については、精神薄弱児を対象とした特別学級が全国的に減少する国民学校令施行後の時期においても特別学級が比較的多く残っていた東京の養護学級を検討した。そこでは、精神薄弱児への教育継続の模索、感化院が少年教護院と改称して数年を経てもなお、隣接分野と考えられる養護学級の教員からも「感化院」と呼ばれていること、不良少年が養護学級の対象外と考えられている状況がわかった。以上の結果について論文発表および学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である本年度は計画通り、研究対象地域の社会事情雑誌、感化院・少年教護院の全国誌、障害児教育の一次資料を入手し分析を行うことができた。分析結果について論文が掲載されたほか、障害科学学会で発表を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる令和2年度は、研究対象地域の感化院・少年教護院における地域社会、学校との連携の意味をさらに深く分析していく。また、これらの感化院・少年教護院が障害児教育を実施する上でいかなる教育内容の変化を必要としたかを検証する。そのために必要な文献資料のさらなる収集・分析を行う。また、研究成果をまとめた論文投稿を行う。
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Causes of Carryover |
年度末期に開催が予定されていた障害科学学会が急遽中止となり発表方法が変更となったため、学会発表に伴う旅費に残額が生じた。翌年度の助成金使用計画については、本研究を遂行するなかで新たに必要性が判明した、特別学級に関する文献収集等に本年度の残額をあてて使用する見込みである。
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