2021 Fiscal Year Annual Research Report
学生の多様化と大学中退の関連―多様化のとらえ方を再考する
Project/Area Number |
19K23344
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Research Institution | Sakushin Gakuin University |
Principal Investigator |
下瀬川 陽 作新学院大学, 人間文化学部, 講師 (90846510)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 大学中退 / 心理的・文化的摩擦 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、大学教育の量的拡大に伴って生じた学生の多様化が、どのように大学中退と結びついているのかを検討することであった。学力(言い換えれば入学偏差値)以外の多様性に着目し、大学間/大学内の分散両方から中退率の差を生み出すメカニズムにせまること、および多様な学生層の間の心理的・文化的摩擦という観点から中退メカニズムにせまることで、多様化の様相をとらえ直すことを目指してきた。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の流行の影響に鑑み、当初の研究計画の実施は難しいと判断した。 そこで、後者のリサーチクエスチョンに焦点を絞り、すでに学生生活を終えた者を対象に、インターネットモニターを利用した回顧形式のウェブ調査を行った。現時点では分析モデルの精緻化に取り組んでいる最中であるため、暫定的な結果を以下に示す。 すなわち、1. 出身SESにより、大学進学をどれだけ実現可能なものと捉えているかには違いがある。2. しかしながら、大学進学の実現可能性の捉え方は、中退選択に影響しない。3.さらに、中退者は大学教育に対して明確な期待やスタンスを持っていない。以上より、入学時点までの文化的背景と、入学後の実態との摩擦が生じているとまでは言えない。言い換えると、学力の面におけるフォローアップだけでなく、(たとえ“生徒的な”ものであっても)モチベーションをもたせるよう支援することが必要である可能性が示された。 なお、上述の研究デザインの再考・修正の過程で、以下の2点について明らかにした。 1. 中退理由から5つのタイプに分類することが可能であり、そのうち心理・社会的要因による中退のリスクは、父の学歴が高い場合に大きくなる。 2. 中退後に労働市場に移行したケースに限っていえば、“辞めやすさ”のような個人特性があるとは考えにくい。中退者の離職リスクは高いが、それは雇用形態や企業規模などの条件によるものである。
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