2019 Fiscal Year Research-status Report
適応的な向社会的行動の実行につながる理解の発達的変化
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19K23360
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
二村 郁美 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 特任研究員 (00843351)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 向社会的行動 / 文脈 / 理解 / 発達的変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
向社会的行動は,様々な対象に対して,短期的・長期的に多様な形で影響を及ぼし得る。適切に向社会的行動を実行するためには,相手の短期的な利益のみを考えるのではなく,相手を含めた様々な対象への長期的な影響についても考慮する多面的な視点を持って,向社会的行動が持つ意味について理解できることが重要になる。そこで本研究では,向社会的行動の性質に関する理解の特徴について,発達的観点から検討を行う。 向社会的行動がもたらす影響や,向社会的行動が持つ意味は,その行動が実行されたりされなかったりする際の文脈に応じて異なる。本年度は,複数の異なる文脈下における向社会的行動の実行・不実行に関する評価の発達的変化を検討する研究を実施した。研究1では,4-6歳児を対象として,個別形式による実験を行った。この研究では,二者間での向社会的行動場面を用いて,相手が向社会的行動を実行した場合と実行しなかった場合における,主人公による向社会的行動の実行と不実行に対する評価を求めた。研究2では,5-6歳児を対象として,個別形式による実験を行った。この研究では,三者間での向社会的行動場面を用いて,相手が,第三者に対して向社会的行動を実行した場合と実行しなかった場合における,主人公による向社会的行動の実行と不実行に対する評価を求めた。これらの研究の結果,幼児期における各文脈下での向社会的行動に対する特徴的な意味づけのあり方が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究協力園に加え,他園にも協力を依頼し,受け入れていただくことができた。幼児期における向社会的行動に関する理解の様相を明らかにする上で必要な2つの研究を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,これまでに得られたデータの分析を進め,学会発表および論文の執筆・投稿を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの関係で,研究会がキャンセルとなり,出張予定に変更が生じたため,次年度使用額が生じた。 次年度は,分析に使用するコンピュータの購入,データ分析にかかる人件費,国際誌に投稿するための英文校正,学会発表のための出張,および書籍購入などに使用する。
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