2019 Fiscal Year Research-status Report
Comparison of neural representations between synesthetic and physical colors in grapheme-color synesthesia
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19K23362
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
濱田 大佐 京都大学, 人間・環境学研究科, 人文学連携研究者 (70851236)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 色字共感覚 / 共感覚色 / 物理色 / 色感度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、色字共感覚者を対象に特定の文字に結びつく色(共感覚色)と通常の物理刺激によって生じる色(物理色)に共通するメカニズムを知覚特性と神経基盤に着目することにより明らかにしようとするものである。共感覚色と物理色はそれぞれ異なる経路から生じていると考えられているので、共感覚色と物理色の間で共通に起こる脳活動・脳領域の存在が明らかになればその脳活動・脳領域は物理刺激を媒介しない主観的な色認知を反映している可能性を示唆する。研究の方向性として、はじめに共感覚色と物理色に共通する知覚特性にアプローチして、それらの知見を踏まえて神経基盤にアプローチする。令和元年度の研究成果として、知覚特性の視点からアプローチした色の弁別特性における共感覚色と物理色の関連性についての研究結果をまとめて国際学会誌に論文を投稿することができた。先行研究では、共感覚者は非共感覚者よりも物理色の感度が高いことが示されている。それに対して本研究は、共感覚者の複数の色に対する物理色感度の違いには共感覚色の主観的経験が関与する可能性が示された。この研究結果は、共感覚色と物理色に共通する知覚特性だけでなく共感覚者の物理色感度の特性を理解していく上でも重要な知見である。投稿した論文はまだ採択に至っていないが、2回の査読を経て結果はMinor Revisionであり現在では既に修正済みの論文が再投稿されているので近々この論文の採択が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共感覚色と物理色に共通する神経基盤にアプローチする前の段階として、知覚特性にアプローチして共感覚者の色感度に関する研究結果をまとめて国際学会誌に論文投稿することができた。この研究結果から共感覚者の色感度と共感覚色の主観的経験の関連性が示されたことで、次の段階である神経基盤に関する研究計画では共感覚者の色感度だけではなく主観的経験の違いも考慮する必要があることがわかった。神経基盤に関する研究の実施環境はまだ整っていないが、知覚特性からのアプローチにより含めるべき要因を定めることができたことから、本研究課題は現在のところおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに、次の段階である共感覚色と物理色に共通する神経基盤を検討するための準備を整える。必要な実験プログラムを作成して実験環境が整い次第、実験を開始する。
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Causes of Carryover |
令和元年度の助成金の利用が10月頃から可能になったため、また、論文の投稿作業に注力していたため今年度の助成金を使い切ることが困難であった。本研究課題ではfMRIを用いて物理色の弁別時の脳活動の測定と共感覚色と物理色のクロスデコーディングの二つを主に予定している。次年度使用額は本来、物理色の弁別時の脳活動測定に利用される予定であった。翌年度では、令和元年度に実施できなかったこの研究を含めて二つの研究を実施していく予定である。
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