2020 Fiscal Year Research-status Report
「心の痛み」と「体の痛み」の類似性・差異性に関する実証的解明
Project/Area Number |
19K23367
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
玉井 颯一 高知工科大学, 情報学群, 助教 (00848517)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 排斥 / 心理的痛み / fMRI / 身体的痛み |
Outline of Annual Research Achievements |
身体的痛みを経験した時に活動するdACCという脳領域は、集団から排斥された時にも活動する。こうした知見より、排斥された時、人は“痛み”を経験しているという「痛みの共通性理論」が提案された。しかし、dACCという領域は痛み以外の心理プロセスにも関与しているため、dACCが活動している時に必ずしも痛みが生じているわけではない。本研究では、排斥された時の脳活動と別の心理プロセス(身体的痛み)を感じている際の脳活動を直接比較することで、排斥された際に「痛み」が生じているのか、より詳細に検討する。 令和2年度は当初、心理的痛みを経験している際の脳活動と身体的痛みを経験している際の脳活動をfMRIによって撮像し、多ボクセルパターン解析と呼ばれる手法によって両者が不可分な関係にあるかを検討する予定であった。この実験を実施するために、実験に必要な設備を備えた研究機関と連携し、装置の利用方法や実験手続きについての打ち合わせを行い、実験に用いるプロトコルを作成、実験実施に向けた準備を行っていた。 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、外部機関への出向が制限され、実験の実施ができない時期が長期間にわたって継続された。そのため令和2年度は、当初の予定通りに実験を遂行することが困難となり、やむなく令和3年度に持ち越すこととした。ただし、オンラインでの実験は実施可能であったため、人の心理的痛みの規定因を検討し、その成果を学術誌にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響により、令和2年度に実施する予定であった実験を延期したことから、研究の進捗に遅れが生じている。現在は、実験に必要な設備の点検、プロトコルの作成などを完了し、実験のリハーサルを重ね、万全の体制を整えている。実験の実施にあたって、連携機関とは、参加者のリクルートや実験の実施に関する手続き、成果報告の方法などについての打ち合わせを行っており、実験はいつでも開始できる状態である。令和3年度中に実験を実施し、その成果を論文として報告するべく、可能な範囲で論文の執筆も行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
助成期間の最終年度となる本年度は、昨年度中の実施を延期していた実験を実施し、その成果を論文にまとめ、学術誌に投稿する予定である。本年度前半は、緊急事態宣言が発令されたことにより、実験の実施機関への出向が困難であるため、実験の準備・リハーサルに専念する。その後、感染症の拡大状況を見ながら、実験を開始し、データが得られ次第、即座に解析と論文の執筆を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画していた実験の実施を延期したこと、他の研究会や学会の開催がオンラインとなったこと等から、次年度使用額が生じた。令和2年度から持ち越した分については、サンプル数を拡大し、謝金や設備利用費に充当する予定である。
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