2020 Fiscal Year Research-status Report
Practice of Return-to-work Program based on Cognitive Remediation.
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19K23379
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
落合 舞子 (川崎舞子) 東京大学, 相談支援研究開発センター, 特任助教 (80844018)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 認知機能 / うつ病 / 認知リハビリテーション / リワークプログラム / 職場復帰支援 / 休職 / 復職 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は, うつ病などメンタルヘルス不調による休職例に対し, 認知機能障害の回復を目的とする認知リハビリテーション(以下, 認知リハ)を取り入れたリワークプログラムを実施し, その効果を検討することである。リワークプログラムは精神科クリニックで週5日実施しており, そのうち半日を認知リハの時間とした。プログラムの前後で認知機能検査および質問紙検査を実施した。今年度は、2019年度に得られた知見をふまえ、休職中のうつ病患者にとって認知リハがよりモチベーションを維持しやすい内容となるよう意識し実践した。具体的には、個人で行う課題だけでなくグループで遂行する課題を取り入れたり、うつ病患者の認知機能障害や認知リハが今後どのように役立つのかといったテーマで心理教育を行ってから課題に取り組むなどの工夫をした。 今年度は、30名程度の対象者に研究協力を依頼し、データを収集した。そのうちデータの欠損やプログラムの中断があった事例を除き、2019年度に収集したデータと併せて37名を分析対象とし、国内外で学会発表を行った。また、質問紙検査の結果からみたプログラムの効果について論文を執筆した。分析の結果、すべての質問紙検査(抑うつ感、不安感、社交不安の症状評価、社会適応能力)において、得点の改善がみられた。認知機能検査では一部改善がみられ、精神運動速度、実行機能、ワーキングメモリーの改善が示唆された。 今年度はCOVID-19の影響により健常群のデータ収集が叶わなかったが、今後は健常群のデータとの比較を行い、うつ病の認知機能障害に関する知見およびその回復に関する知見を得ることで、よりスムーズな職場復帰と再発予防に寄与する支援の在り方を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度は、30名程度のうつ病患者に研究協力を依頼し、精神科クリニックの面接室で検査を実施したが、プログラムの中断やデータの欠損により分析対象となったのは半数程度であった。対象者は職場復帰を目指す休職中の会社員であるため、職場復帰にあたってリハビリ出勤や会社の面談が急遽入ることにより都合が合わず、プログラム終了時の検査を実施することができない事例が一定数あったためである。また、COVID-19の影響により対象者が自主的にプログラムを中断した例もあった。健常群のデータ収集においては、研究者が研究協力者のもとへ出張するかたちでデータを収集する予定であり、COVID-19の影響により収集が遅れている。そのため、補助事業期間延長承認申請書を提出し、2021年3月19日に承認された。以上の理由から「(4)遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の補助事業期間は2020年度までであったが、日本学術振興会により延長が承認されたため、2021年度も引き続きデータ収集と成果報告を行う予定である。2020年度発表予定だった国際学会はCOVID-19の影響により1年延期されたため、2021年7月に発表する予定である。データ収集については、臨床群との比較のため健常群のデータを収集する。2020年度はデータ収集を中断した時期があったが、今後は感染者数の推移等を鑑みたうえで、感染対策を万全に行い、研究協力者の安全に十分配慮しながらデータ収集を再開していく。
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Causes of Carryover |
国内外の学会で発表するための旅費については、学会の開催延期やオンラインでの参加となったため使用しなかった。2021年度の学会発表や研究の推進に資する出張のために使用することも検討しているが、感染状況をふまえて柔軟に対応していく。 また、データ収集の際に使用する交通費や研究協力者への謝礼は、COVID-19の影響によりデータ収集を一時中断したため使用しなかった。今後は、感染対策のための設備を整えたうえでデータ収集を再開していく。
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