2019 Fiscal Year Research-status Report
味の印象を形成する感覚間連合の解明:実験心理学・脳機能計測による検証
Project/Area Number |
19K23384
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
元木 康介 宮城大学, 食産業学群(部), 助教 (90850438)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 感覚間連合 / 消費者行動 / 食心理学 / 音象徴 / 味覚 / 多感覚知覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、心理学的手法を用いて、味の印象を形成する感覚間連合について検討した。感覚間連合とは、視覚・聴覚・味覚のような異なる感覚が相互に影響する性質である。しかし、これまで聴覚要素と味の関係についてはよくわかっていなかった。そこで、聴覚要素(商品名の発音)がいかに味の印象を形成するかについて研究を行なった。 合計で、3つのオンライン実験を行なった。実験参加者はクラウドソーシングサイトで募集した。実験は、オンラインのアンケートプラットフォームで実施した。実験参加者は、架空の商品名を見てその味 (甘味/酸味/塩味/苦味) を予想する課題を行った。商品名の発音は、音声学的分類に基づき母音(前舌母音/後舌母音)と子音(摩擦音/閉鎖音/無声音/有声音)を操作した。結果として、消費者は商品の些細な発音の違いから個別の味を推測していることが明らかになった。例えば、摩擦音/無声音/前舌音が含まれている商品名からは甘味を、閉鎖音/有声音/後舌音が含まれている商品名からは苦味を連想していた。無声音が含まれている商品名からは酸味を、閉鎖音/有声音が含まれている商品名からは、塩味を連想していた。また、発音が味に及ぼす影響は、母音(前舌母音/後舌母音)よりも子音(摩擦音/閉鎖音/無声音/有声音)の方が大きいことが明らかになった。この成果は、食心理学分野の代表的な国際査読誌であるFood Quality and Preferenceに掲載された。この成果により、発音を起点とした効果的な食品ネーミング開発などが可能となることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は心理学的手法により、味の印象を形成する感覚間連合について検討する予定であった。今年度に行う予定であった実験を実施しただけでなく、実験により得られた知見を論文として発表することができた。よって、研究計画はおおむね順調に進展していると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続き心理学実験により味の印象を形成する感覚間連合について検証する予定である。また、脳科学的手法を用いた実験についても準備を進めていき、実施する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度購入予定であった研究機器(解析ソフト等)を購入しなかったため、次年度使用額が生じた。次年度の実験のために、本年度に早期購入予定であった。また、実験室実験ではなくオンライン実験を行なったため、実験協力者への謝金が想定した費用より抑えられた。次年度使用額は、研究機器(解析ソフト等)や実験室実験の協力者謝金に使用する予定である。
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Research Products
(8 results)