2022 Fiscal Year Annual Research Report
信頼行動の心理メカニズムの解明:脳神経ネットワークを用いた検討
Project/Area Number |
19K23386
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
仁科 国之 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 助教 (70843233)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 信頼行動 / 間接互恵性 / 一般的信頼 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の間接互恵性の尺度では、直接互恵と間接互恵を分けて測定することはできなかった。そこで前年度、間接互恵性を測定するための質問紙を作成し、信頼行動、一般的信頼、他の互恵性を測定する質問紙、構成世界信念尺度、リスク傾向を測定する質問紙との関連を測定し、従来の互恵性尺度とは異なり、間接互恵性を測定できているかどうかを検討した。その結果、公正世界信念尺度では、解釈度である公正世界信念、究極的公正世界信念とは正の相関、不公正世界信念とは負の相関を示した。従来の互恵性尺度では、下位尺度である互恵性信念、ポジティブ互恵性とは正の相関、ネガティブ互恵性とは負の相関を示した。互恵性信念、ポジティブ互恵性とは正の相関、ネガティブ互恵性のいずれとも中程度の相関を示したため、新しく測定した尺度も互恵性を測定していると考えられる。一般的信頼とは中程度の正の相関を示し、互恵性信念、ポジティブ互恵性よりも高い相関係数を示した。信頼行動とは弱い正の相関を示したが、一般的信頼と同様に互恵性信念、ポジティブ互恵性よりも高い相関係数を示した。これらのことから、本研究で作成した間接互恵性の尺度は「他人に親切な行いをすれば巡り巡って自分に返ってくる」、「いいことをすればいいことが、わるいことをすればわるいことが返ってくる」といったような互恵性信念や世界の信念を測定していると考えられる。研究期間全体を通して、COVID-19の影響を強く受け当初の予定通り研究をすすめることができなかったが、信頼行動が社会的交換ヒューリスティックによって行われいないこと、間接互恵尺度の作成といった信頼行動に影響をあたえる心理要因を明らかにすることができたのは、本研究の成果であるといえる。
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