2020 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者のメンタルヘルスとソーシャル・キャピタルに物理的環境が与える影響
Project/Area Number |
19K23390
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小野口 航 早稲田大学, 文学学術院, 助手 (40844121)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | ソーシャル・キャピタル / 物理的環境 / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,高齢者を取り巻く環境要因を物理的・社会的環境がの両面から包括的にとらえ,メンタルヘルス並びに個人の社会的環境への認知の加齢変化を検討することである。2019年度は,収集済みの調査データと対象者の居住する地域の物理的環境データとをGeographic Information System(以下;GIS)を用いて結合を行い,物理的環境とメンタルヘルスとの関係を検討した。 具体的には,GIS解析ソフトを用いて,対象者周辺の施設として,生活用品店や銀行などの生活に必要な施設の数を,徒歩圏内(半径1㎞)で収集した。併せて,居住地周辺の平均の土地傾斜,標高を計測した。 結果として,都市部在住の身体機能が高い高齢者は、徒歩圏内に目的地が多いほど精神的健康が良好であることが示された。一方で、非都市部在住の身体機能が低い高齢者は、居住地の傾斜がなだらかなほど精神的健康が良好であることが示された。物理的環境とメンタルヘルスとの関係を検討する際には個人の能力だけでなく,居住地域を考慮する重要性を示唆するものであった。 2020年度は,社会的環境の指標としてソーシャル・キャピタル(SC)を取り上げ,個人が持つSCと地域全体のSCが高齢者のメンタルヘルスと同関連しているかを検討した。 結果として,都市部・非都市部に関わらず個人のSCは良好な精神的健康と関連し,都市部のSCが低い高齢者個人にとっては地域のSCが多いほど精神的健康が不良であることが示された。
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