2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K23406
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
加藤 本子 琉球大学, 教育学部, 准教授 (00847593)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 固定点性質 / CAT(0)空間への群作用 / 円の自己同相写像 / Richard Thompsonの群 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間全体を通し, ring群と呼ばれる円の自己同相のなす有限生成群について, CAT(0)空間への群作用の固定点性質に関する研究を行った. CAT(0)空間への群作用の固定点性質は, 群の積構造や表現など, 様々な性質に関わる重要な性質である. 題材として着目したring群は, Kim-Koberda-Lodhaによる直線の自己同相のなす有限生成群「chain群」のS^1版として定義されるが, その一般的な性質については調べられていない. 本研究では, ring群の円への作用に対して力学系的な条件をつけたとき, ring群がその交換子部分群の有限生成部分群に対して相対的な固定点性質を持つことを示した. 応用として, Richard Thompson群Tの「n分岐版」であるHigman-Thompson群T_nの固定点性質に関する結果を得た. 一般に固定点性質を持つ群の具体例を構成するのは難しいが, Richard Thompson群T, Vはそのような数少ない具体例の一つとして知られている. しかし, T_nが同様の固定点性質を持つかどうかは知られていなかった.本研究では, T_nがring群の構造を持つことを示した. この過程で, T_nの新たな有限生成系を構成した. この生成系は, T_nの自己相似性を反映するという意味で性質の良いものである. さらに, それを用いて, T_nが被覆次元有限のCAT(0)空間へのsemi-simpleな群作用に対して固定点性質を持つことを示した. この証明では, T_nのring群としての構造を中心的に用いて, Tに対する証明の一般化の仮定における技術的な困難を回避することに成功した.
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Research Products
(2 results)