2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K23409
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
大森 源城 東京理科大学, 理工学部数学科, 助教 (20843303)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 写像類群 / 向き付け不可能曲面 / Dehn twist / crosscap pushing map / involution |
Outline of Annual Research Achievements |
Sを曲面とした時,Sの写像類群M(S) とは,Sの自己微分同相写像のアイソトピー類からなる群である.本年度は,交付申請書の「1 研究目的、研究方法など」に記載した研究(B)の「向き付け不可能曲面の写像類群の有限表示に関する研究」に取り組んだ. 向き付け不可能曲面をNとおく.写像類群M(N)の具体的な有限表示は既にParis-SzepietowskiやStukow等によって与えられていたが,それらの表示の関係式は複雑なものを多く含む.その為,本研究では簡明な関係式のみを持つM(N)の有限表示を構成する事を目標とする.M(N)の有限表示の生成系としては,Dehn twistとcrosscap pushing mapからなるものを想定している. M(N)の有限表示を構成する為に,Dehn twistとcrosscap pushing mapの間の関係式について深く理解する必要がある,その為に本年度は,involutionのDehn twist-crosscap pushing map表示(以下,D-C表示)の構成を試みた.M(N)の元IがinvolutionであるとはIの2乗が単位元になる時にそう呼ぶ.また,involution IをDehn twistとcrosscap pushing mapの積で書き表す事をIのD-C表示と呼ぶ.Involution IのD-C表示が与えられると,それを2乗する事でDehn twistとcrosscap pushing mapの間の関係式が得られる.その為,involutionのD-C表示を与える事はM(N)の関係式を深く理解する為に有用である.本年度の研究において,Nの種数が4と5の時に,任意のinvolutionの共役類に対して,その1つの代表元のD-C表示を構成する事に成功した.本研究は,埼玉大学の阪田直樹氏との共同研究である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記載したように,向き付け不可能曲面の種数が4と5の時に,任意のinvolutionの共役類に対して,その1つの代表元のD-C表示を構成した事で,Dehn twistとcrosscap pushing mapの間の関係式に関する深い理解を得た.D-C表示を構成する際に用いたDehn twistとcrosscap pushing mapによるM(N)の生成系は、Szepietowskiによって与えられた,Dehn twistとcrosscap pushing mapから構成されるものの中で最も小さいものである.よって,このような単純な生成系によるD-C表示を与えた事で,よりM(N)の関係式に関する理解を深める事が出来た.
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Strategy for Future Research Activity |
向き付け不可能曲面Nの写像類群M(N)の関係式について深く理解する為,より種数が大きい向き付け不可能曲面上のinvolutionのD-C表示を求める.本年度の研究から,種数5のinvolutionは,種数4のinvolutionの固定点をblowupすることで得られる事が分かっている。一般種数の向き付け不可能曲面のD-C表示を与える為,奇数種数の向き付け不可能曲面上のinvolutionが,偶数種数の向き付け不可能曲面上のinvolutionの固定点をblowupすることで得られるかどうかを調べる.また,主に低種数の場合から,D-C表示を構成出来るinvolutionについては,随時構成していく.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,新型コロナウイルスの影響で,3月に予定していた学会や研究集会参加や研究打ち合わせの為の出張をほぼキャンセルした為. 次年度使用額の使用計画として,今年度後半に出来なかった研究打ち合わせの為の出張を複数回行う.新型コロナウイルスの影響で出張をする事が難しい場合は,遠隔での研究打ち合わせを行う為の環境を整える為の機材を購入する.
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