2020 Fiscal Year Research-status Report
ビッグデータ解析に応用可能な高連結度グラフの構成に関する微分幾何学的研究
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19K23411
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
山田 大貴 島根大学, 学術研究院理工学系, 助教 (00847270)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | グラフ理論 / リッチ曲率 / ラプラシアン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,微分幾何学において重要な概念であるリッチ曲率とグラフの連結度との関係性を明らかにすることで,効率的に高連結度グラフを構成することであり, 本年度は「単体的複体上のラプラシアンに関する研究」と「正のリッチ曲率に関する研究」の2つの研究を行った. 「単体的複体上のラプラシアンに関する研究」の研究成果: これまでの研究成果では,1次元単体的複体上のラプラシアンの固有値をグラフ上のリッチ曲率を用いて不等式評価していたが,これを改良した.具体的には,一般的な単体的複体上の確率測度を導入することで,グラフ上のリッチ曲率を一般的な単体的複体上へ拡張した.更に,Jost-Horakが導入した単体的複体の向き付けの方法を利用し,単体的複体上のラプラシアンを正規化することで,これまでの研究成果における証明方法を流用することができ,一般的な次元の単体的複体上のラプラシアンの固有値を不等式評価することに成功した.この研究成果はarXivに挙げており,現在国際雑誌に投稿中である. 「正のリッチ曲率に関する研究」の研究成果: 昨年度,小澤龍之介氏(防衛大)と櫻井陽平氏(埼玉大)との共同研究で得られたグラフ上の幾何解析学的性質を用いてグラフの最大直径定理を証明することに成功した.グラフの最大直径定理を証明するために,正のリッチ曲率を用いたグラフに関する性質を幾つか明らかにした.こうした正のリッチ曲率に関する命題はグラフの連結性とも関係があるため,本研究の進展にも大きく貢献した.この研究成果はarXivに挙げており,現在国際雑誌に投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究自体に滞りはないが,コロナの影響で実証研究に関して海外研究者や他分野研究者と打合せすることができなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
オンラインで打合せができるような研究環境を整備するとともに,「単体的複体上のラプラシアンに関する研究」と「正のリッチ曲率に関する研究」を統合しグラフの連結性とリッチ曲率との関係を明らかにしていく.
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Causes of Carryover |
コロナのため,海外出張や国内出張が行うことができなかった. 翌年度は,オンラインで打合せができるように機器を整備する.
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