2022 Fiscal Year Annual Research Report
Diffeomorphism and homeomorphism groups of 4-manifolds and gauge theory for families
Project/Area Number |
19K23412
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今野 北斗 東京大学, 大学院数理科学研究科, 助教 (20845614)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 族のゲージ理論 / Seiberg-Witten方程式 / 4次元多様体 / 微分同相群 / 特性類 / 群作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の重要な成果は,微分同相群の分類空間のホモロジー的安定性が4次元で成立しないことを証明したことである(Jianfeng Lin氏(清華大学)との共同研究).4次元以外の任意の偶数次元においては,微分同相群の分類空間のホモロジーは,多様体の安定化と呼ばれる操作を有限回行うことで安定することが知られていた.これは高次元トポロジーにおける最近の主要な成果の一つと見なされている,今回の研究で,対応する主張が4次元では成立しないことを証明することができた.これは4次元の特殊性を従来とは異なる形で確立する結果である.証明には,私が以前構成していたSeiberg-Witten理論に基づく特性類の変種を構成・計算することでなされる.この結果の証明の副産物として,4次元多様体の微分同相群の分類空間と同相群の分類空間のホモロジーの間の差を,任意のホモロジーの次数で検出する初めての結果も与えた.
また,昨年度予定していた,昨年度に谷口正樹氏(理化学研究所)・宮澤仁氏(東京大学)との共同研究で行ったスピン4次元多様体上のinvolutionに対する議論を,スピンでない場合にも部分的に展開することにも成功した.この応用の中には,非スピン4次元多様体の場合のNielsen実現問題が否定的に解ける初めての例も含まれる.
以上は最終年度の成果である.研究期間全体を通じた総括としては,族のゲージ理論を中心に微分同相群と関係するゲージ理論的な新たな枠組みの構成を様々な角度から行い,数多くの幾何学的応用を与えることができた.特に,中心テーマであった4次元多様体の同相群・微分同相群との比較や,最終年度に達成できた4次元におけるホモロジー的非安定性の確立は,今後の族のゲージ理論・4次元多様体の微分同相群の研究において基本的なものとなると期待できる.
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