2020 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical study of photo control of excitonic insulators and high-harmonic generation using realistic models
Project/Area Number |
19K23425
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
村上 雄太 東京工業大学, 理学院, 助教 (70845289)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 非平衡物性理論 / 光誘起相転移 / 高次高調波発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画の当初の目的は励起子絶縁体の非平衡操作の理論提案と強相関電子系の高次高調波発生の性質の理論的解明であった。 励起子絶縁体に関しては、近年その候補物質として注目されているTa2NiSe5に焦点を当て、その集団励起モードに関する理論予言と、実験との共同研究を行い励起子絶縁体を示唆する集団励起モードの観測に成功した。これら結果は、Ta2NiSe5の秩序相の起源に関する重要な知見を与えている。 また、多軌道の強相関電子系の非平衡ダイナミクスも解析し、散乱過程が始まる前に(Prethermal状態で)平衡系では期待できないタイプの励起子秩序が発展することを見出した。この研究は、Prethermal状態を用いた非平衡秩序誘起の可能性を新たに示唆するものであり、非平衡物性の研究の新たな方向性を示している。 強相関電子系の高次高調波発生に関しては、いくつかの代表的な模型を調べた。多軌道ハバード模型では、強相関系特有のストリング状態が高次高調波スペクトルに現れることを示した。また、一次元のハバード模型の解析では、多体系の素励起に対する3ステップ模型が有効であり、この系の高次高調波は多体の励起構造を直接反映することを示した。また、スピン自由度と高次高調波特性の関係も明らかにした。これらの結果は、強相関電子系の高次高調波発生は半導体とは異なり多体の素励起と深く関わり、スピンや温度自由度を用いた高次高調波発生制御の可能性を示している。
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