2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K23440
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山津 直樹 九州大学, 理学研究院, 学術研究員 (10774094)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 自発的対称性の破れ / 力学的対称性の破れ / 大統一理論 / 南部-ヨナ=ラシニオ模型 / 複合スカラー場 |
Outline of Annual Research Achievements |
素粒子物理現象の背後にある物理法則を解明する手段として対称性と対称性の破れの機構の理解は今までもこれからも重要である.本研究では素粒子現象を記述する基本言語である場の量子論における対称性の破れを従来までよく議論されていた正則部分群への破れだけでなく特殊(正則でない)部分群への破れの構造まで明らかにすることである.特に,その試みの第一歩として場の量子論における取扱いが非常に良く調べられている南部-ヨナ=ラシニオ有効模型における対称性の破れの一般的な構造を明らかにする.
今年度は四次元での南部-ヨナ=ラシニオ有効模型を用いた主にSO(N)のスピノル表現のフェルミオン対凝縮による力学的対称性の破れの構造を調べた.SO(N)群のスピノル表現を調べた理由は,スピノル表現がNにより表現の複素,実,擬実性が変化すること,また,標準理論を越える大統一理論として典型的に議論される群の一つであるSO(10)群での対称性の破れの構造を調べるためである.
解析結果からリー群の正則または特殊部分群への破れは表現の複素,実,擬実性と相関が見られることが判明した.具体的には,複素表現の場合は特殊部分群への対称性の破れが実現され,一方,自己共役表現(実・擬実表現)の場合は主に正則部分群への破れが実現される.また,SO(N)のスピノルフェルミオン対凝縮による対称性の破れを分類するためにSO(N)の部分群,特に小群を『加算型』,『積型』,『埋め込み型』の三つに分類した.この分類方法はSO(N)の部分群以外にも適用可能な概念である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載した前半部分に当たる四次元でのSO(N)南部-ヨナ=ラシニオ(NJL)有効模型を用いたフェルミオン対凝縮による力学的対称性の破れの構造の解析が完了した.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に記載した後半部分に当たる四次元でのUSp(N)南部-ヨナ=ラシニオ(NJL)有効模型を用いたフェルミオン対凝縮による力学的対称性の破れの構造の解析を行う.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により参加を予定していた学会・研究会等が中止または延期となったため、出張旅費等の使用額が減り次年度使用額が生じた。次年度は新型コロナウイルスの影響がいつまで継続するか不透明であるが今年度未使用額は今年度できなかった研究成果発表等のための出張旅費等に使用する予定である。
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