2020 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギー重イオン衝突における前方ミュー粒子対測定で紐解くハドロン質量の起源
Project/Area Number |
19K23444
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
八野 哲 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 助教 (20850720)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | カイラル対称性 / クォーク ・グルーオン・プラズマ / QGP / ALICE実験 / 高エネルギー原子核衝突 / 高エネルギー原子核衝突実験 / クォーク・グルーオン・プラズマ |
Outline of Annual Research Achievements |
LHC-Run3(2021-)高エネルギー重イオン衝突における低横運動量・低質量ベクトル中間子の質量分布を高分解能で測定するために、LHC-ALICE実験の新型シリコン飛跡検出(Muon Forward Tracker: MFT検出器)の開発を行った。特に飛跡再構成アルゴリズムの開発と検出器パラメータデータベースの実装を行なった。予定していた現地でのインストール・コミッショニング作業はCOVID-19の影響により参加を中止せざるを得なかった。 高い質量分解能を得るために必要不可欠なMFT検出器と既存のミュー粒子飛跡検出器(MCH検出器)で測定した飛跡からミュー粒子を再構成するアルゴリズムの開発を行なった。特に、両検出器で測定した飛跡を正確に組み合わせるマッチングアルゴリズムの開発に注力した。低横運動量・低質量ベクトル中間子の測定に重要な低横運動量領域ミュー粒子のマッチング効率の最大化を目指し、八野は機械学習を用いたアルゴリズム開発を推進した。その結果、重心系エネルギー5.5TeV鉛鉛衝突の最中心衝突(中心度 0-10%)において、従来のカットベース手法では15%程度(@pT=1GeV/c)であったマッチング効率を約80%まで向上させることに成功した。また、期待される低質量ベクトル中間子の質量分布を見積もることで、質量変化測定が可能であることを示し、これらの結果を日本物理学会第76回年次大会で報告した。 加えて、検出器パラメータデータベースの実装を行なった。インストールした検出器から得られた実際の検出器校正データを用いたテストを行い、データの保存及び読み出しが問題なく動作することを確認した。
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Research Products
(2 results)