2020 Fiscal Year Research-status Report
Dark matter search unifying theory, gamma-ray and optical observations
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19K23446
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
廣島 渚 富山大学, 学術研究部理学系, 助教 (60845741)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 暗黒物質探査 / 矮小楕円銀河 |
Outline of Annual Research Achievements |
理論・ガンマ線観測・可視光観測の一本化による暗黒物質探査に関連し、複数のプロジェクトについて進展があった。本研究ではこれまで独立に進められてきた理論的暗黒物質構造研究、ガンマ線観測による直接的な暗黒物質対消滅断面積の制限、暗黒物質ハロー内での密度分布を可視光の銀河観測から決める研究の3つを統合することで整合的な対局的観点で整合的な暗黒物質探査を遂行することにある。 具体的な進展の一つ目として、暗黒物質構造形成の理論モデルを用いて密度分布を再評価し、対消滅断面積の制限を更新した。ガンマ線探査において重要な観測対象の一つに矮小楕円銀河が挙げられるが、当該銀河は非常に暗く、銀河を包含する暗黒物質ハローの密度分布を決めるのが難しい。これは、密度分布の決定に用いられる可視光の銀河観測データが限られていることを反映している。密度分布のパラメータ評価において、事前確率分布を得ておくことでパラメータの決定精度は大幅に向上できる。本研究では矮小楕円銀河が天の川銀河の衛星銀河であること、すなわちそのハローは天の川銀河のハローのサブハローであることに着目し、暗黒物質ハローの構造形成についての理論モデルから予測されるサブハローの密度パラメータから事前確率分布を構成することで、矮小楕円銀河の密度分布評価における誤差を改善した。得られた分布とガンマ線観測の上限値を組み合わせ、従来の制限が過大評価であることを明らかにした。 また、可視光観測とガンマ線観測のデータを統一的に取り扱うことで暗黒物質ハローの密度分布決定精度を向上させる研究についても進展があった。こちらについては現在論文準備中であるが、具体的に先行研究で誤差評価について非整合的な取り扱いがされている部分を洗い出し、必要な定式化を完了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
具体的に可視光観測の結果と理論を結びつけ、新たな成果を得ている。当該研究はガンマ線観測に基づく暗黒物質対消滅断面積の制限においても非常に重要な意義を持つ。 関連する独立な研究として、可視光観測データの系統誤差を統一的に取り扱うことでの矮小楕円銀河の暗黒物質密度評価についてはプロジェクトが現在進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
オンラインツールを活用し、関連研究者との連携を密にすることで研究効率を向上する。すでに基本的な式の整理は完了しているので、これを適用していく段階にある。
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Causes of Carryover |
COVID-19の蔓延により予定していた海外出張ができなくなったことに加え、議論のための国内出張も大幅に制限されたため研究自体の進行にも影響が出たことが次年度使用額が生じた理由として挙げられる。 次年度使用額については関連研究者との詳細な議論を目的とした国内出張、および必要な物品の購入費用に充当する予定である。
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Research Products
(6 results)