2022 Fiscal Year Annual Research Report
Dark matter search unifying theory, gamma-ray and optical observations
Project/Area Number |
19K23446
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
廣島 渚 富山大学, 学術研究部理学系, 助教 (60845741)
|
Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
|
Keywords | 暗黒物質 / 構造形成 / ガンマ線 |
Outline of Annual Research Achievements |
暗黒物質の正体解明は現代物理学の最重要課題の一つである。長年に渡り多数のシナリオが考えら検証されてきた中で、Weakly Interacting Massive Particle (WIMP) と呼ばれる新粒子は1つの有力な候補である。加速器実験及び地下での直接探査実験に加え、質量がギガ電子ボルトからテラ電子ボルトの領域においては宇宙物理学的な観測から得られる制限が強力である。特に、天の川銀河の衛星銀河である矮小楕円銀河中にWIMPの対消滅に起因したギガンマ線放射が見つからないということがこのパラメータ領域での強い要求となっている。しかしながら、ガンマ線での探査においては、矮小楕円銀河中での暗黒物質密度空間分布を精密に求めることが必要であり、その不定性が現在の制限の精度を支配しているという現状があった。密度分布の決定には矮小楕円銀河中の星の可視光観測が用いられ、その視線速度を暗黒物質ハローの作る重力ポテンシャルと結びつけるモデリングが必要となる。 本研究では天の川銀河の暗黒物質ハローのサブ構造としての矮小楕円銀河のハローに注目し、サブ構造としての矮小楕円銀河の形成史の考慮することで可視光観測から得られる暗黒物質空間密度分布評価の精度を向上し、この評価に基づきガンマ線データを使ってWIMPの対消滅断面積の制限を再評価した。本研究で得られた対消滅断面積の制限は従来のものより2-6倍程度弱いものとなり、WIMPの対消滅シグナルについて先行研究で問題となっていた銀河中心の解析と矮小楕円銀河の解析の食い違いが生じないことが示された。
|