2019 Fiscal Year Research-status Report
A multiscale approach for prescribing turbulent heating in hot accretion flows
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19K23451
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川面 洋平 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (80725375)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | ブラックホール / 降着円 / プラズマ乱流 / 電磁流体力学 / ジャイロ運動論 |
Outline of Annual Research Achievements |
ブラックホール降着円盤の中でも放射非効率降着流(RIAF)と呼ばれるタイプの降着円盤では,プラズマが無衝突状態になっているためイオンと電子は異なった温度を持っていると考えられている.イオンと電子の温度比を決定するためには,従来用いられてきた電磁流体力学モデル (MHD) だけでは不十分であり,運動論モデルを用いる必要がある. 令和元年度は以下の2つの成果を得た.まず,ジャイロ運動論の直接シミュレーションを行い,運動論的乱流が散逸する際に生じる加熱がイオンと電子にどう配分されるか求めた.従来の運動論的乱流シミュレーションでは,乱流を非圧縮的 (Alfvenic) な揺動によって駆動していたが,本研究では初めて圧縮的な駆動も同時に行う計算を行った.その結果,圧縮的駆動のパワーがAlfvenic駆動のパワーを上回ると,イオンがより選択的に加熱されるという事がわかった. 次に,降着円盤において乱流を駆動する磁気回転不安定性 (MRI) のシミュレーションを行い,MRIが生み出す圧縮的揺動とAlfvenicな揺動の比を求めた.この比が上述のジャイロ運動論計算の入力パラメータとなる.通常のMHDでMRI乱流における圧縮的揺動とAlfvenicな揺動の比を求めることは困難であるため,新たに降着円盤における簡約化MRI (SHRMHD) を導出した.SHRMHDは,背景磁場が降着円盤の回転軸とほぼ垂直となるときのみ成立するが,従来のMHDより容易に圧縮的揺動とAlfvenicな揺動の比を求めることができる.その結果,圧縮的揺動はAlfvenicな揺動の強度はほぼ1対1となることが分かった. 以上の結果のうちジャイロ運動論シミュレーションに関しては既に論文を投稿した.現在MRIシミュレーションの論文を執筆中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
目標としていたジャイロ運動論計算,MHD計算ともにはっきりとした結論を得たため,当初の計画以上に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,昨年度得たMRIシミュレーションの論文執筆を行う.次に,SHRMHDは背景磁場が降着円盤の回転軸とほぼ垂直となるときのみに限定されるため,通常のMHDを用いて高解像度計算を行い,より一般的な状況における圧縮的揺動はAlfvenicな揺動の比を求める.
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Causes of Carryover |
購入したワークステーションが当初の計画より安価に済んだため.差額は少額であるので,次年度の助成金と合わせてソフトウェアライセンスの費用に当てる.
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Research Products
(7 results)