2020 Fiscal Year Research-status Report
Study for sources of gravity wave over the Southern Andes and the Antarctic Peninsula
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19K23465
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木暮 優 九州大学, 理学研究院, 学術研究員 (10846786)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 大気重力波 / 2次波 / アンデス山脈 / 南半球 / 成層圏突然昇温 |
Outline of Annual Research Achievements |
去年度まで進めてきた『南部アンデス山脈上空の山岳波が作り出す2次波の観測研究』は、2020年8月に論文がGeophysical Research Lettersに受理され、出版された。また、同時並行で進めていた『南半球突然昇温に伴う大気重力波の変動の研究』に関しては、2021年4月に論文がGeophysical Research Lettersに受理され、出版された。以下、『南半球突然昇温に伴う大気重力波の変動の研究』の研究成果の概要を説明する(前者の論文は去年度報告した通りである)。 2019年8月30日前後に南半球で突然昇温が発生した。この突然昇温に伴い、成層圏の西風が100 m/s程減速し、約高度40 kmでは東風に変わった。この劇的な風速の変化により、成層圏中部(約高度30 km)から中間圏中部(約高度70 km)まで大気重力波の振幅が1桁近く減少していることが、GEOS-FP(NASA/GSFCの全球モデル)の再解析データから明らかになった。複数の衛星観測(AIRS, AIM)もモデルの解析結果を支持する結果となった。 大気重力波の振幅減衰は、風向が西から東へ変化したことにより成層圏下部(約高度20 km)までしか波が伝播できなくなったためと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究目的『南部アンデス山脈上空の山岳波とその山岳波が作り出す2次波を衛星観測(Aqua/AIRS、VIIRS/Suomi NPP)』は既に達せられた。また、当初の研究計画になかった『南半球突然昇温に伴う大気重力波の変動の研究』に関しても、去年度の報告で設定した目標は達成した。 上記の理由により、計画以上の成果を出している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの2つの研究結果を組み合わせ、成層圏突然昇温時の熱圏/電離圏の2次波について研究する予定である。我々の研究結果から、成層圏突然昇温により、大気重力波の砕波高度は通常時より下降することが予想される。このため、2次波が発生する高度も通常時より下降すると考えられる。この下降により熱圏/電離圏も影響があると予想される。今後も、NASA/GSFCの研究者と協力して研究を行っていく予定である。 また、地上観測からも2次波の研究を行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、コロナウィルスの影響で当初予定していた、NASA/GSFCへの出張が2021年度へ延期となったこと、論文受理が3月30日で支払いが未完であるためである。 使用計画は、米国出張1回・国内出張1回及び論文出版費(2本)、学会参加費等に使用する予定である。
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