2021 Fiscal Year Research-status Report
深海堆積岩に記録された古生代から中生代における海洋シリカ循環の変遷
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19K23470
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| Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
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Principal Investigator |
武藤 俊 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究員 (80849951)
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| Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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| Keywords | パンサラッサ / 遠洋深海堆積岩 / チャート / コノドント |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、古生代後期石炭紀から中生代前期三畳紀（約3.1億年前から約2.0億年前）にかけて大陸から遠く離れた遠洋域の深海平原で堆積した珪質堆積岩の層序記録をもとに、海洋におけるシリカ循環の変遷を探ることを目的としている。2021年度は、北上山地北部に分布するジュラ紀付加体中の遠洋深海堆積岩層から採取した試料から、年代の高精度化のために示準化石となるコノドント化石を検出した。コノドント化石は世界中の海成堆積岩類から産出する上に、年代ごとに起きた形態の変化がよく研究されているため、有効な示準化石として用いられている。特に、本研究で対象とする古生代石炭紀から中生代三畳紀に関しては、地質年代を定義するものとしても用いられる重要な示準化石である。本研究で検出したコノドント化石を、地質年代に関する研究が行われてきた世界の他地域の化石産出記録と対比することで、後期石炭紀から後期三畳紀に至る年代の深海堆積岩層序を確認することができた。その結果、古い層準から順に石炭紀後期のチャート、石炭紀末期からペルム紀前期の泥岩、ペルム紀中期からペルム紀末期のチャート、三畳紀前期の有機質粘土岩および黒色粘土岩、三畳紀中期から三畳紀後期のチャートが研究地域で確認された。従来、遠洋深海堆積岩層のうち三畳紀からジュラ紀の部分は年代が明らかになったものが多く知られていたが、それより古い時代の層序記録に関しては、本研究で得られたものが年代の連続性と精度の点から最も質の高いものである。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響で、外部との交流の機会が大幅に制限され、予定していた分析のための出張や、前処理を行う人員の雇用、学会発表などに支障が生じたため、計画より研究が遅れている。
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| Strategy for Future Research Activity |
2022年度には、堆積岩試料の全岩化学組成を分析し、ケイ素（Si）やアルミニウム（Al）などの主要元素組成を測定する。測定結果を元に、堆積岩に含まれている砕屑物と生物起源シリカの量を岩石の種類ごとに推定する。その結果と、今までに得られている堆積岩層の層厚と年代の情報を合わせることで、時代を通しての砕屑物と生物源シリカが遠洋域深海底に堆積した速度を推定する。
古生代後期から中生代前期については、大陸縁辺の浅海域で堆積した堆積岩層の研究から、大陸風化の強度、古海水温、氷床量の変化などが推定されている。これらの地球史記録と本研究で得られた遠洋域深海底における生物源シリカの堆積記録を付き合わせることで、大陸風化による海洋へのシリカの流入量や、古海水温や氷床量に反映されると推定される海洋循環が、古地理的に最大の海盆である遠洋域深海でのシリカの堆積フラックスにどう影響を与えたかを解読する。
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| Causes of Carryover |
2021年度、契約職員を雇用して岩石の化学分析の前処理を行い、得られた成果を国際学会で発表する予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で契約職員の候補者との接触や海外渡航が制限されたため、研究の進捗と発表の機会両方が制約されてしまった。これを受けて、本研究は助成期間の延長を申請して承認されており、当初予定していた化学分析およびその発表を2022年度に行うことを予定している。
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