2020 Fiscal Year Annual Research Report
TES型精密X線分光器を用いた「はやぶさ2」帰還試料の微小水和物探査に向けた研究
Project/Area Number |
19K23473
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
林 佑 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 宇宙航空プロジェクト研究員 (00846842)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 地球外物質 / X線分光 / MEMS / TES |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、地球外物質のサブマイクロスケールでの分析を可能とする走査透過型電子顕微鏡(STEM)とX線分散型分光分析(EDS)を組み合わせた分析システムの定量精度を一桁以上向上可能なX線検出器である超伝導遷移端型X線マイクロカロリメータ(TESカロリメータ)の開発を行っている。本年度は、昨年度までに確立してきたTESカロリメータの有効面積の向上を目指した金のマッシュルーム型吸収体の開発環境の構築を行った。マッシュルーム型吸収体はTESカロリメータの読み出し配線やTES素子間のデットスペースを覆うような構造である。従来の製作方法では、マッシュルーム型の吸収体製作に蒸着法を用いて成膜してきたが、蒸着時の熱によりマッシュルーム型吸収体下のフォトレジストの除去が難しかった。昨年度までにオランダの宇宙機関であるSRONの研究員の助言の下、フォトレジスト除去を可能とする電解析出法(電析法)による吸収体の成膜によりフォトレジストの除去が可能なマッシュルーム型吸収体製作プロセスの最適化を行った。そのプロセスを自前で製作可能とするために、所属先のCRに電析環境を構築した。さらに構築した電析環境を用いて、金の成膜条件である電流値や電析時間の最適化を行い安定した析出の条件出しを行った。最適化した条件で成膜した金の表面分析を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて分析し、吸収体として最低限の膜質であることを確認した。この条件で今後はマッシュルーム型吸収体の製作を進めていく予定である。
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