2019 Fiscal Year Research-status Report
非線形共振を利用した薬剤修飾マイクロバブルへのエネルギー局在化手法の開発
Project/Area Number |
19K23484
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
杉田 直広 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (80852318)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 流体工学 / 振動工学 / 超音波 / マイクロカプセル / 放出制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題(2年計画)では,薬物送達システムにおける放出制御の高効率化を目的とし,薬剤を含有させたマイクロバブルを,低強度超音波によって選択的に崩壊させる手法の開発を行う.マイクロバブルへの選択的なエネルギー局在化を実現するため,超音波応答性の異なる複数のマイクロバブル群を混合して用いる手法を提案する.粒子径分布と数濃度を制御した混合分散系において,音響放射圧を介して連成したマイクロバブル間の共振現象を利用することによって,薬剤を付加したマイクロバブルの崩壊率の向上を目指す.シェル付きマイクロバブルの崩壊現象の微視的計測から,マイクロバブル群の大域的な崩壊率を実験的に定量化し,崩壊率の向上に寄与する粒子径および数濃度の制御パラメータを明らかにする. 令和元年度(1年目)では,崩壊現象の可視化を行うための光学システムおよび画像解析手法を構築し,ポリマーシェルを有する中空のマイクロカプセルを用いて崩壊率の評価を行った.平面状のマイクロチャンバー内にマイクロカプセルを2次元的に分散させ,超音波照射によりシェルから脱離したガス気泡を観察することによって,カプセル群の大域的な崩壊数を実験的に算出することに成功した.さらに,顕微鏡画像の粒子解析から分散系の粒子径分布および数濃度分布を算出することで,カプセル群の崩壊率をこれらの関数として定量的に評価することが可能となった.令和2年度(2年目)では,初年度に構築した評価手法を引き続き用いて,粒子径分布と数濃度を制御したマイクロバブル群の崩壊率を定量評価し,特定の音響特性を有するマイクロバブルを選択的に崩壊させるための分散系の構造ならびに超音波パラメータを明らかにする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に構築した実験手法により,中空マイクロカプセルの崩壊率評価を定量的に行うことが可能となった.さらに,当初の計画にある粒径制御に加えて,数濃度制御の重要性に関する知見を得た.本計測・評価手法をスケールダウンし,より非線形性の強いサンプルでの検証実験を行うための改良を検討しており,おおむね順調に研究が進捗している.
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度(1年目)に構築した評価手法を用いて,粒径分布および数濃度制御を行ったマイクロカプセル群の崩壊率を評価し,線形振動領域における崩壊特性を明らかにする.さらに,この実験手法を血管造影用マイクロバブルに拡張し,非線形領域での評価を行う.
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Causes of Carryover |
有償レンタルを予定していた高速度カメラを用いない評価方法を見出したため,レンタル料への支出が削減された.さらに,学会中止によって未使用の旅費が発生した.次年度では,次年度使用額と翌年度請求額を合わせ,従来計画には入れることができなかった圧力センサを次年度に購入する.
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