2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K23490
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
塘 陽子 九州大学, 工学研究院, 助教 (70844273)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | ナノフルイディクス / カーボンナノチューブ / グラフェン / 界面 / 透過型電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
沸騰熱伝達を利用した冷却技術の課題の一つが限界熱流束(CHF)の向上である.そのために,多孔質体の微小空間内部で起こる毛管現象を利用して加熱面へ液を供給する技術が開発されている.本研究者は,ナノスケールの空間内部で出現する特異的な流体現象を積極的に利用して液の供給を促進させることを目指し,ナノ空間内部で起こる水の相変化界面現象のメカニズム解明のための実験的研究を行っている.本年度は,内壁にナノスケールの凹凸形状を有する撥水性のカーボンナノチューブ(CNT: Carbon nanotube, 以下CNT)に水を封入して,透過型電子顕微鏡(TEM: Transmission electron microscope, 以下TEM)で観察し,親水化したCNTを用いた観察結果と比較することで濡れ性が界面形状に与える影響を明らかにした.それ以上に大きな成果は,内壁表面が原子レベルで平滑なナノチューブの作製とその内部に水を封入する手法を開発したことである.具体的には,銅薄膜上に支持された単層グラフェンをウェットプロセスによってグラフェンのみを溶液中に浮遊させて,表面張力により水を巻き取るようにしてチューブ状にした.これをTEM観察した結果,ナノチューブ内部でのナノ液滴の発生および内壁表面極近傍での水の動的な濡れを観察することに成功した.内壁に凹凸形状を有するCNTの結果と比較することで,固体表面形状が界面挙動に与える影響を評価できると期待している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水を内封したグラフェンチューブの作製手法を開発することで,内壁表面が原子レベルで平滑な一次元ナノチャネルを実現し,その内部で起こる界面現象のTEM観察に成功したため.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度に開発したグラフェンチューブを積極的に活用していく.まず,電子線照射によって誘発される動的な水の界面現象のその場観察を行うとともに,並行して,TEM観察に温度制御技術を導入することにより水の加熱による相変化界面現象のその場観察へと研究を進める.
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Causes of Carryover |
当初の計画ではメンブレン付きTEM観察グリッドを購入して実験を行う予定であったが,グラフェンチューブの作製に成功したことで,これを用いればTEMでより高い分解能が得られるうえにCNTを用いた結果との比較も行えるため,本研究の目的を達成するためにはグラフェンチューブの利用の方が適していると判断した.そのために使用額が計画よりも少なくなった.
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Research Products
(5 results)