2021 Fiscal Year Annual Research Report
Process construction for reversible and irreversible flow-induced gel phase transition-A new strategy for soft matter production
Project/Area Number |
19K23499
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
原 峻平 同志社大学, 理工学部, 助教 (20844088)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 流動誘起ゲル / 乱流 / 界面活性剤 / 相転移 / 可逆・不可逆性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲルとは,高分子が架橋された三次元的網目構造を骨格とする膨潤体であり,溶媒に不溶のものとして定義される.ゲルの中でも,流動中のせん断・伸長によるゾル-ゲル間の相転移によって形成される流動誘起ゲルについては,相転移の詳細なメカニズム,可逆・不可逆相転移の条件や流動誘起ゲルの力学的特性など未解明な部分が多い.本研究では,多種のフィルター付き滲出装置によって作り出した流動誘起ゲルを,可視化実験,レオメータによる動的粘弾性試験,高速度カメラを用いた粒子画像流速測定法および平面レーザー誘起蛍光法によって調査した.また,フィルターサイズとフィルター枚数を変えることで溶液に与える変形率と変形量を幅広い範囲で変更して実験を行った.得られた知見は以下の通りである. 1,数十ppmオーダーの低濃度溶液であったとしても適切な変形率・変形量を与えると不可逆相転移によって流動誘起ゲルが形成される. 2,乱流中で形成された流動誘起ゲルは乱流拡散により周囲の流体を取り込み二桁大きいサイズまで膨潤する.また,乱流拡散係数の増加とともにゲルも大きくなる. 3,流動誘起ゲルは広い周波数帯で固体的性質を示し,Maxwellモデルにより見積もった緩和時間は伸長率の増加とともに4.5-12秒の範囲内で増加する. 4,可逆相転移によって流動誘起ゲルが形成された場合,流動誘起ゲル内部の大スケールの架橋はまばらである. 得られた成果は,国内学会で発表済みであり,従来の考えが当てはまらない現象として関心を集めている.また,国際学会で発表予定であり,査読の段階で着眼点の良さについて評価されている.本研究の知見は,ゾル-ゲル相転移に関する研究の進展に大きく寄与するものである.今後はさらに汎用性の高いゲル形成条件の予測式の提案に向けて研究を進展する必要がある.
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