2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K23509
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
定本 知徳 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 助教 (40839966)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | エネルギー散逸率 / 潮流設計 / 制御理論 / データ駆動制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は,実施計画に基づきエネルギー散逸率(以下,散逸率)を介した潮流状態全体の特徴づけを行い,安定な潮流状態の設計手順を考案した.しかしながら,実データを基にしたベンチマークシミュレータを用いて考案法の有効性を検証したところ,散逸率の保守性が高く,適用可能な電力系統が限られるとの結果が得られた.そのため,保守性の少ない指標を用いたアプローチへとやや変更することとした. 次年度には,H2ノルムと呼ばれる指標に基づく安定度の高い潮流再設計法を提案した.これは散逸率と同様にシステムのエネルギー減少率を測る指標のひとつである.提案法はベンチマークモデルを用いた多くのケーススタディを通して検証した.本成果は,その質の高さが評価され,IEEE Transactions on Smart Gridという電力系の最高峰の国際論文誌へ掲載された.さらに,本成果を受け,潮流設計とその潮流状態付近で安定度をさらに向上させる制御器の併用こそが強靭な次世代電力システム構築には重要であるとの考えに至った.そこで,電力システムの特性は未知であることからデータ駆動型の制御器設計手法を提案した.しかし,電力システムは大規模であるため学習に要する計算量を低減させる必要のあることが明らかになった.これらの点について,電力系の専門家であるAranya先生と共同研究を計画していたがコロナ禍のため延期となった. 最終年度には,昨年度の前者の課題について検討し,学習アルゴリズムのうち制御器の次元に相当するパラメータを適切に小さくとることで計算量を減らしつつ性能劣化を抑えられることを明らかにした.このアプローチにより,ほぼリアルタイムで制御器学習が可能であることを数値的に検証した.
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Research Products
(2 results)