2019 Fiscal Year Research-status Report
動的システムの制御に資する簡便なパラメータによるモデル表現およびデータ駆動推定
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19K23511
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
種村 昌也 信州大学, 学術研究院工学系, 助教 (10846885)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | データ駆動制御 / 受動性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では,効率的な受動性推定手法の開発を行った.従来手法において,線形時不変の未知のシステムに対して勾配法を用いて繰り返し入力を更新し,その出力を観測することにより,システムの受動性を推定している.しかし,勾配法の収束が遅く,多くの入出力データの取得を必要とする場合がある.大量のデータを必要とする場合,データ取得のコスト増加やデータ保管の記憶媒体への負荷の増加につながる. その問題に対して,システムの線形性に注目し重ね合わせの原理を活用することにより,勾配法の収束を著しく改善する方法を考案した.従来手法では受動性推定問題をシステムへ印加する入力を決定変数とした最適化問題に定式化し,入出力データをもとに勾配法により入力列を更新していく.この更新を繰り返すことにより受動性を推定する.このとき,従来の方法では現在の入力列に対して勾配を求めその方向に入力を更新していくが,本方法では,過去のすべての勾配法情報を活用する.重ね合わせの原理を活用することにより,過去の求めた全勾配方向の中で最適な入力列を決定することができる.つまり,従来では一つの勾配情報で入力列を更新していたのに対し,本手法では過去の勾配情報すべてを活用するため,従来と比べ飛躍的に勾配法による入力列の更新が改善され,結果として,少ない入出力データで受動性が推定できる. 数値実験により,およそ90パーセントデータ量を削減できることを確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では,消散性への推定手法の拡張および安定余裕のデータ駆動推定手法の構築を行う予定であったが,令和1年度では,データ駆動推定手法の効率化を行った.しかし,推定の効率化はすべてのデータ駆動手法において重要である.今後は,効率化を上述の方法へも応用していく.
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Strategy for Future Research Activity |
受動性を一般化した消散性への推定方法の拡張を行う.これにより,より広い安定化制御器のクラスを知ることができる.具体的には,多目的最適化手法の考えを用いて拡張する.これに加えて,安定余裕のデータ駆動推定手法の構築を行う予定である.これに対しては,周波数領域の概念である安定余裕を時間領域の概念に変換し,入出力データにより推定する方法を構築する予定である. また,本研究を研究する中で,データ駆動推定手法が人と群ロボットの協調制御系に対して有効であることがわかってきた.そこで,群ロボットの実験機を購入し,人と群ロボットの協調制御系に対して,実機実験によりデータ駆動推定手法の有効性を示す予定である.
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの影響により出張が中止になったことが原因として挙げられる.次年度では,人と群ロボットの協調制御系に対する本手法の検証を目的とし,群ロボットの実験機を導入する予定である.そこで複数台のビークル装置,またそれらに指令を与えるDSP,制御系を構築するPCを購入する予定である.
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Research Products
(2 results)