2020 Fiscal Year Research-status Report
動的システムの制御に資する簡便なパラメータによるモデル表現およびデータ駆動推定
Project/Area Number |
19K23511
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
種村 昌也 信州大学, 学術研究院工学系, 助教 (10846885)
|
Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
|
Keywords | データ駆動制御 / 安定余裕 / 受動性 / 協調制御系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では,未知の線形時不変システムに対して入出力データに基づく安定余裕の推定手法の開発を行った.システムの入出力データに基づいて安定余裕を推定することができれば,システムパラメータが未知の状況においても安定化する制御器を設計することができる.安定余裕はゲイン余裕と位相余裕に分けられるがいずれも周波数領域で定義される概念であるため,時間領域の入出力データから推定できる形式に変換する必要がある.本研究ではKYP補題を活用することにより周波数領域で定義される安定余裕を時間領域の表現を導出し,安定余裕の下界を推定するための時間領域での制約式を求めた.さらに,勾配法に基づくデータ駆動型推定手法を適用することでシステムの安定余裕を推定できることを示した.数値シミュレーション実験により安定余裕の推定検証を行い,ゲイン余裕および位相余裕の下界を推定できることが確認できた. また,本年度では人間とロボット群の協調制御系における人間の受動性推定問題に取り組んだ.人間が受動的であることがわかれば協調制御系が安定となるようなロボット群システムを構築することができるため,人間の受動性を推定することは重要である.本研究では,人間が正常に反応できる目標値信号の周波数を評価し,低い周波数帯域の目標値信号において人間は正常に反応できることを実験により示した.そして,入力信号に制約を課したデータ駆動型受動性推定手法を考案し,人間が正常に反応できる範囲内において人間の受動性を推定する手法を構築した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
安定余裕をデータ駆動型推定手法で扱える形式として与え,入出力データに基づく安定余裕の推定手法を構築した.また,人間とロボット群の協調制御系に対するデータ駆動型受動性推定手法の基礎を構築した.
|
Strategy for Future Research Activity |
提案したデータ駆動型安定余裕の推定手法では,制御対象が安定であるという仮定が必要である.一方で,多くの実システムは積分器を含む不安定システムである場合がある.そこで,積分器などの単位円上に極を持つシステムに対するデータ駆動型安定余裕推定手法の構築を行う.
|
Causes of Carryover |
コロナウィルス感染症拡大に伴い,研究の実施が予定より遅れたため,次年度においても引き続き研究を実施する.
|
Research Products
(3 results)