2019 Fiscal Year Research-status Report
受動車輪付きドローンの壁面接触を考慮した制御系の構築と実験検証
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19K23512
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
仲野 聡史 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30847893)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 制御工学 / ドローン / 拘束システム |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は,ドローンの制御理論および実機実験の両面において研究実績を挙げた.まず,受動車輪付きドローンによるインフラ点検を行う上で最も重要となる,車輪を壁面に押し付けながらのドローンの制御を実現するための理論研究を行った.主目的である,ドローンと壁面の接触を常に保ちながらの制御に関連し,拘束を保ちながら全方向に移動可能なロボットの制御を行う制御構造を新たに提案した.この手法は,リファレンスガバナと呼ばれる拘束を考慮しながら制御を行う代表的な手法を拡張したものであり,数値計算コストが従来手法と比較し大きく低い手法となっている.一般的にドローンに搭載可能なペイロードやコストの観点から,高い計算能力を持つ制御ボードをドローンに搭載することは困難であり,提案手法はドローンでの実用面に即した手法であると言える.また,全方向に移動可能なロボットに対して提案した手法を,本研究課題の主目的である受動車輪付きドローンの制御手法へ拡張することにも取り組んでいる. さらに,実機実験により受動車輪付きドローンによるインフラ点検の有効性を示した.主に,橋梁の点検・建築物の天井裏点検および壁面点検に着目し,それぞれに関して状況を設定し実機実験を行った.特に壁面点検において,現段階では手動操作に大きく依存した点検システムであるが点検の有効性が確認できた.また,モーションキャプチャを用いた実験環境の構築にも取り組んでいる. これらの研究結果に関して複数の発表を行い,学術的意義が対外的に認められている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主目的に大きく関連する,全方向に移動可能な移動体に対する拘束を考慮した制御を当初の計画通り提案した.また実験環境構築にも注力し,関連研究を国内学会において合計4件発表した.さらに,2件が優秀講演賞を受賞した.おおむね計画通りの進展であり,同時に高い対外的評価も得られたと評価している.以上より,(2)おおむね順調に進展しているとすることが妥当であると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,2019年度に提案した全方向に移動可能なロボットに対する拘束を考慮した制御を,本研究課題の主目的である受動車輪付きドローンの制御に拡張することを引き続き目指す.さらに,これまでに行った実験環境構築をより進展させ,人間による操縦と自動制御による壁面接触の維持を組み合わせることにより,人間が目標値を決定した際においても常に車輪付きドローンの壁面接触を維持できることを実験的に示す.さらに,得られた研究結果を学術論文誌に投稿することを目指す.
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Causes of Carryover |
当初計画していた国際学会参加を取り止めたため,次年度使用額が生じた.本年度は,計画通り制御理論に関連する国際学会に参加することに加え,ロボット技術に関連する学会にも参加し本予算を使用することを計画している.
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