2019 Fiscal Year Research-status Report
積雪寒冷地に適した高耐久コンクリート舗装の開発と耐久性評価手法の構築
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19K23539
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
前島 拓 日本大学, 工学部, 助教 (20845630)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | コンクリート舗装 / 高耐久 / 凍結融解 / 耐疲労性 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国における公道の総延長は120万kmにおよび、このうち地方公共団体が管理する道路は約97%と圧倒的な比重を占める。この膨大な道路/舗装ストックを厳しい財政制約の中で維持管理していくためには、LCCを考慮した効率的な維持管理手法の構築や、長寿命化に通ずる高耐久な舗装材料の開発が急務であり、工学的な意味からも重要な課題といえる。 このような中、平成24年度に国土交通省がコンクリート舗装の積極的活用を施策として示すなど、舗装種別の考え方を見直す動きが活発になってきている。しかし、舗装材料としてコンクリートを広く活用していくには、凍結防止剤が路面に直接的に散布され、さらに交通荷重の繰返しによる疲労が加わるため、他の構造物以上に高耐久化を図り、適切な維持管理を施さなければならない。本研究は凍結防止剤散布下において促進される材料劣化および疲労に対して高い抵抗性を有するコンクリート舗装材料の開発を目的とし、フライアッシュや高炉スラグ微粉末を混和したコンクリート舗装の配合を選定し、さらに材料劣化促進試験と疲労試験を併用した耐久性試験により、材料劣化を受けるコンクリート舗装の耐疲労性について実験的に検討するものである。 当該年度においては、フライアッシュを混和したコンクリートの配合選定を行い、フライアッシュの混和量とこれに伴うフレッシュ性状の変化や施工性について検討した。種々の検討を行った結果、フライアッシュを細骨材に置換する際の置換率が20%を超過する場合、施工性が急激に低下することを確認した。また、フライアッシュの置換率をパラメータとした要素試験体を作製し凍結融解試験を開始したものの、台風19号の影響によりキャンパス内全域において甚大な被害を受け、試験を中断せざるを得ない状況となった。これに伴い、凍結融解試験後に予定していた種々の試験についても予定を変更せざるを得ない状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初計画では当該年度において、(1)フライアッシュおよび高炉スラグ微粉末を混和したコンクリートの配合選定、(2)要素試験を用いた凍結融解試験、(3)凍結融解を受けたコンクリートの疲労試験、といった3つの試験を実施する計画であった。その中で、(1)については順調に着手しており、施工性を含めた検討まで進め、複数の配合を抽出して要素試験体を作製している。その後、(2)の凍結融解試験を開始したものの、2019年10月に発生した台風19号の影響により試験装置が故障し、試験を中断せざるを得ない状況になった。そのため、(2)終了後に実施予定であった(3)については着手できていない。 一方、試験中断期間においては、コンクリート舗装の非破壊検査に関する予備試験を進めた。ここでは、別研究で疲労載荷試験を実施したコンクリート舗装供試体に対して、小型の強制振動試験装置によりその弾性特性を評価した。その結果、共振周波数の低下率によりコンクリート舗装の損傷レベルを定量評価できる可能性を見出した。なお、次年度は(2)および(3)を改めて実施する予定であり、疲労試験の各段階で共振周波数を計測し、予備試験結果との相互比較を実施する予定である。 以上のように、試験中断期間においては次年度の研究に活用し得るデータの収集を進めてきたものの、当該年度は自然災害の影響により試験が大幅に遅れていることから『遅れている』と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
フライアッシュおよび高炉スラグ微粉末を混和したコンクリート舗装の配合選定が終了したものの、自然災害の影響により大幅に試験が遅延している。 そのため、試験を中断した要素試験体による凍結融解試験および凍結融解を受けたコンクリートの疲労試験を先行して実施する。また、これに並行して連続鉄筋コンクリート舗装を模した試験体を作製し、環境試験装置を用いて凍結防止剤散布を考慮した凍結融解試験と、疲労試験を併用した耐久性評価試験を実施することで、凍結防止剤散布下で想定される劣化に対する耐久性を評価する。各試験時には試験体内部および表面のひずみを計測するとともに、当該年度にデータを収集した振動試験や超音波試験といった非破壊検査を実施することで劣化進行過程に応じた弾性特性を評価し、コンクリート舗装の損傷機構に関わるデータを収集する。
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Causes of Carryover |
当該年度は台風19号の影響により予定していた試験を中断せざるを得ない状況となった。特に、疲労試験および連続鉄筋コンクリート舗装を模した供試体の作製が困難であり、その実施予定額を次年度に請求することとした。 次年度は当該年度に実施できていない試験を含め、当初の研究計画に沿って各種試験を実施する予定であり、助成金の使用についても当初の計画に沿って進める予定である。
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