2019 Fiscal Year Research-status Report
熱的挙動を考慮した断面修復コンクリートの一体性評価モデルの提案
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19K23541
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
金 侖美 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 研究員 (20846662)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 断面修復コンクリート / 一体性 / 熱挙動 / 修復界面 |
Outline of Annual Research Achievements |
鉄筋コンクリート構造物の補修には断面修復工法が広く用いられているが,補修後に修復部におけるひび割れおよび修復界面における剥離などの早期劣化発生が問題となっている。断面修復したコンクリート(以下,断面修復コンクリート)の早期劣化は外気温度の変化や既設コンクリートの条件などの使用環境に適していない補修材料の使用が原因と考えられる。本研究では,鉄筋コンクリート構造物の断面修復工法の計画段階で使用環境及び既設コンクリートに適合する断面修復材の選定基準提案を目的に,既設コンクリートと断面修復材の相違した材料的特性や補修部の修復形態および温度変化が断面修復コンクリートにおける劣化発生に及ぼす影響について実験・解析の両面から検討する。 2019年度は,断面修復コンクリートの修復界面における剥離発生の原因として,既設コンクリートと断面修復材の熱膨張係数差および断面修復部の幾何学形態に注目し,温度変化に伴う断面修復コンクリートの熱挙動から修復界面における熱応力を明らかにするために検討を行った。 その結果,既設コンクリートと断面修復材の熱膨張係数が異なる場合は,熱膨張係数の差が大きいほど熱応力が大きくなり,修復界面における熱挙動には両材の熱膨張係数と静弾性係数が影響することが実験で明らかになった。 なお,断面修復材が既設コンクリートを1面拘束した場合は,温度変化による熱応力が断面修復コンクリートの修復界面付近に集中するが,修復界面が凸凹な形態になると1面拘束した場合より熱応力が広範囲に分布することが解析で確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初,「断面修復材とコンクリートの熱膨張係数差と修復界面部のせん断応力・引張応力の関係」,「断面修復部の形態と熱膨張率の関係」の定量化から断面修復したコンクリート部材における早期劣化条件を明らかにすることを目標に研究を行ったが,コンクリートの温度―ひずみの測定時に実験パラメータによらないばらつきが発生した。現在までは既設コンクリートと断面修復材の材料的特性の違いによる熱挙動の傾向は実験結果より定性的に得ており,またばらつきの要因について特定しているが,定量化のための再検討が必要であるため研究が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 断面修復材とコンクリートの熱膨張係数差と修復界面部のせん断応力・引張応力の関係の定量化 (2) 断面修復部の形態と熱膨張率の関係の定量化 (3) 断面修復表面におけるひび割れ発生に及ぼす劣化要因の把握 【計画変更】当初,断面修復材とコンクリートの熱膨張係数差が修復表面におけるひび割れ発生に及ぼす影響を検討する計画であったが,2019年度の研究結果より熱膨張係数差による劣化発生の可能性が希薄であったため,計画を変更する。 (4) 断面修復材の選定基準を提案
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Causes of Carryover |
当初想定より試験体作成費が少なかったため,研究費の余剰が発生した。 実験用資材の購入費用として使用予定である。
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Research Products
(4 results)