2019 Fiscal Year Research-status Report
Numerical analysis method of origami structures considering gravity
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19K23547
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
張 天昊 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (90845728)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 折り紙 / 畳み込み / 一般逆行列 / 剛体運動 / 展開構造 / 空間構造 / 建築構造 / 建築構造・材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
折り紙の展開及び畳み込みの仕組みは、宇宙やロボット工学などの分野で活用されているが、建築分野での応用例は極稀である。建築の分野では、この性質を利用した経済的、かつ合理的な施工、解体などへの応用が期待されている。しかし、実用に向ける折り紙構造は、畳み込み時の接触や厚みを考慮した構造構成など、未だに明らかにされていない難題が多い。特に重力環境下での畳み込み運動を数値計算するためには節点座標を未知数とした手法が用いられるが、従来の数値方法では、研究対象が複雑になると、解析時間が著しく長いことが更なる問題の解明を妨げる隘路となっている。折り紙のような形態不安定な構造物の解析方法において、如何に高い解析精度を保ちつつ、計算効率を大幅に向上させるかが重大な課題である。本研究では、迅速かつ精確に運動過程を追跡できる数値計算手法の確立を目的とし、数値計算理論の考察と実験による検証を通して、目標の達成を試みている。 初年度の研究を行うにあたり、新しい数値解析手法の実現の可能性を理論的に検証することができた。従来の一般逆行列を直接計算する解析手法を使用せず、折り紙構造の形態を疎行列による数値計算を用いた解析手法を導出した。本研究で新たなに提案した計算手法の解析精度と計算効率を指標とし、従来の手法を用いた計算と比較した結果、新手法のほうが、同じ精度で所要時間がはるかに短いことが明らかになった。これにより、疎行列による数値手法を用いて、迅速かつ精確に畳み込み解析が実現できることを確認できた。 次年度では本研究で提出された手法を折り紙構造の設計に応用し、その実用性について模型実験を通して検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度では、一般逆行列を直接計算せずに、疎行列による数値計算を用いて折り紙構造の形態を解析する手法を導出した。従来の折り紙構造の畳み込み解析で核心的な操作となる一般逆行列の計算と比べ、疎行列による計算が可能となったため、精度を保ちつつ、計算時間を短縮することができた。これによって、新しい数値解析手法の実現の可能性を理論的に検証することができ、研究計画の第一段階の目標がおおむね達成できていると考えられる。 また、数値計算例より、本手法は不安定次数の高い柔軟な構造に適しており、計算効率が大幅に改善できる結果が観察されるなど、新たな知見も得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果を受けて,今後はまず提出された手法を折り紙構造の設計に応用し、その実用性の検証を目指す。具体的には、節点座標を未知数とし、厚みを考慮した折り紙モデルを作製し、外力を導入することで重力環境下での畳み込み運動の数値解析を実施する。続いて、これにより設計された折り紙構造の畳み込み経路の正確性を調べるため、不安定な折り紙構造物の実物模型を作製し、畳み込み過程の測定実験を実施する。また、研究の遂行と同時に研究成果の総括を順次行っていく予定である。
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