2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K23551
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
石塚 直登 九州工業大学, 大学院工学研究院, 助教 (40840228)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 防災集団移転促進事業 / 集団移転 / 移転元地の利用 / 土地履歴 / 市町村史 / 復興調査 / 公文書管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、防災集団移転促進事業(防集事業)の移転元地の利活用の需要に関する基本的要件、および、利活用の需要の存在する場合における、制限緩和に必要な基本的要件を、防集事業の過去の実施地区に関する文献・資料調査および現地調査をもとに明らかにすることを目的としている。①各移転が行われるに至った災害形態、②移転状況、③各移転元地に課せられている制限、④移転元地の移転から現在までの利活用の実態、⑤利活用の潜在的な需要、の5つの要素を調査することとしている。 本年度においては、東日本大震災以前の事例に関して悉皆的に1.各自治体が保管している移転元地に関する資料の有無およびある場合は資料の入手、2.移転元地の位置特定、の調査を、前年度に収集した報告資料・研究資料、市町村史なども活用しつつ進め、2.によって移転元地の具体的な位置特定ができた地域については、3.既刊の地図および航空写真(主に国土地理院の資料)を年代をさかのぼって収集した。3.の収集資料の比較により、④移転元地の移転から現在までの利活用の実態、について明らかとした。 また、1.各自治体が保管している移転元地に関する資料の有無およびある場合は資料の入手、においては、防集事業による居住地の変容は地区にとって大きな出来事であるにも関わらず、自治体においても資料保管状況に大きく差があること(すでに廃棄されている場合、歴史的公文書として保管さえている場合など)が明らかとなった。歴史的公文書の管理に関する課題が示されたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
自治体資料の収集においては、一部公文書は遠隔での閲覧・複写に対応していない自治体があるが、本年度は断続的な新型コロナウイルス蔓延下の状況により、収集のための訪問ができない状況が続き、資料入手が遅れているものがある。 また、自治体資料がすでに破棄されている事例について、昨年度収集の公刊資料にも具体的な移転元地に関する情報記載がない場合には、資料からの移転元地の特定が困難であることが判明した。これについては、当時の関係者等にヒアリング等を行う必要があると考えられるが、関係者の特定自体にも時間がかかる上に、研究申請時の方法を大きく見直す必要があるため、実施をするかどうかを含めて再検討を行っており時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
断続的な新型コロナウイルス蔓延下の状況により当初予定していた、⑤利活用の潜在的な需要、の調査のための現地調査は、今後も計画が立てにくいことが想定される。 そこで、④移転元地の移転から現在までの利活用の実態、についての変遷分析を資料分析をもとに精密に行う方式に変更することで、⑤の検討を行うことを計画している。 また、公刊資料調査および自治体資料の調査については、2021年度早々に結果がそろうと考えられるため、その部分に関しては、報告論文を発表する予定としている。
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Causes of Carryover |
主に、新型コロナウイルス蔓延下において、現地調査・自治体訪問が行えなかったことによる旅費支出の減少が挙げられる。2021年度も新型コロナウイルス蔓延が断続的に生じることを想定して、一部の資料入手・現地調査のための旅費支出は行うが、資料調査の比重を増やした研究計画へと見直しを行うことで研究を完遂する計画とする。 具体的には、現地調査に代わって有料の高解像度の航空写真購入や、過去にわたっての住宅地図の複写等を行うことで調査の一部を代替えする予定であり、それらの費用の支出を計画している。 また、研究年度の延長により、各種ソフトウエアライセンスの追加利用の経費支出を予定している。
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