2020 Fiscal Year Annual Research Report
Estimation of Collapse Modes of Traditional Timber Houses for Improvement of Collapse Ultimate Deformation
Project/Area Number |
19K23560
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Research Institution | Building Research Institute |
Principal Investigator |
大村 早紀 国立研究開発法人建築研究所, 構造研究グループ, 研究員 (70848283)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 伝統木造住宅 / 倒壊限界変形 / 破壊機構 / 極大地震 |
Outline of Annual Research Achievements |
今後も発生が予測される極大地震に対して、伝統木造住宅の倒壊被害を軽減するためには、変形性能を向上させる耐震対策が重要である。本研究課題では、伝統木造住宅の倒壊限界変形評価のための実用的な破壊機構推定法の構築を目的とし、(A) 崩壊形推定式の提案、(B) 水平構面による影響分析を行った。 (A)崩壊形推定式の提案 架構の崩壊形が倒壊限界変形の大小に関わることから、2階建て伝統木造軸組架構を対象とし、崩壊形を推定可能な崩壊形推定式を提案した。基本的な考え方は、過去に提案した大垂壁付き架構の崩壊形推定式と同様で、架構の崩壊形を1層崩壊形・2層崩壊形・全体崩壊形の3つに分類し、各崩壊形の中で層せん断耐力が一番小さい崩壊形となるとする。それぞれの層せん断耐力は、耐力要素である柱と壁の耐力の累加により計算する。そして、実大平面架構の実験結果を用いて本提案式の崩壊形推定における有効性を確認し、伝統木造住宅の変形性能を向上させる耐震対策を検討可能とした。 (B)水平構面による影響分析 建物の固有周期および鉛直・水平構面の剛性バランスや、入力地震動の特性が、建物の振動特性や応答性状に及ぼす影響の把握を目的とし、応答解析を行った。検討対象建物は構面の配置が簡潔な1列3室型の2階建て京町家とし、せん断バネおよび回転バネで結ばれた4質点系でモデル化した。解析モデルの解析変数は鉛直構面および水平構面のせん断剛性とし、振動特性および応答への影響を把握した。解析の結果、各階の層間変位が均一である構面でも、1階に変形集中する構面と連結された場合、水平構面のせん断剛性の上昇とともに2階に対して1階の変形が大きくなることが確認された。このとき、1階に変形集中する構面でも、さらに変形集中が増大する可能性がある。すなわち、伝統木造住宅において、ある構面の崩壊形が隣接構面による影響を受ける可能性を示した。
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Research Products
(1 results)