2019 Fiscal Year Annual Research Report
地表面近傍の乱流構造の解明およびその設計風速の提案
Project/Area Number |
19K23561
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Research Institution | Building Research Institute |
Principal Investigator |
高舘 祐貴 国立研究開発法人建築研究所, 構造研究グループ, 研究員 (20848311)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2020-03-31
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Keywords | 設計風速 / 風速の鉛直分布 / 風洞実験 / 数値流体解析 / 地表面粗度区分 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,風洞実験と数値流体解析を用いて,平成12年建設省告示第1454号(以下,告示1454号)並びに日本建築学会の建築物荷重指針・同解説で一定値とされている地表面付近の風速の鉛直分布を提案することである。現行の基規準では,与える風荷重を安全側とするため地表面付近の高さZb以下の設計風速を一定値としている。しかし,自然風は地面に近づくほど地表面との摩擦の影響で徐々に減少するため,ある高さ以下の設計風速を一定値として与えることは必ずしも実現象に即しているとはいえず,小規模構造物等について構造計算を行う場合は設計風速が過大となり過剰な風荷重を要求する可能性がある。一方,建築基準法施行令第87条では,「建築物に近接してその建築物を風の方向に対して有効にさえぎる他の建築物、防風林その他これらに類するものがある場合においては、その方向における風荷重を1/2まで減らすことができる」としている。また,告示1454号では高さ13m以下の設計風速は周辺環境によらず,開けた平坦地(樹木・低層建築物が散在している地域)であっても,都市周辺の住宅地帯(中層建築物(4~9階)が散在する地域)の値を用いることとしており,地表面近傍の風速が計算上低減される規定となっている。これらは,地表面近傍の風速分布が複雑であるだけでなく,これまで十分な知見が得られていないため,設計上の安全性を考慮して定められたものと考えられる。 本研究では,風洞実験による風速の測定と数値流体解析による計算及び可視化によって地表面近傍の乱流構造の解明や地表面近傍の風速の定量的な評価を行う。本研究によって,地表面近傍のより合理的な設計風速を提案することができれば,建築基準法上では,構造計算が求められていない小規模建築物などの適切な風荷重評価法の確立につながり,建築物の耐風安全性に大きく寄与すると考えられる。
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