2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K23595
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Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
中川 充 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究員 (60848274)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 金ナノワイヤー / ソフトテンプレート法 / ナノチューブ / キラリティー / キラル転写 / 低分子ゲル化剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は分子集合体上におけるらせん状金ナノワイヤーの合成法について詳細に検討した。 らせん状金ナノワイヤーは金前駆体として塩化金(III)酸(HAuCl4)、還元剤としてL-アスコルビン酸(AA)を用いて合成した。このとき、金ナノワイヤーの太さおよび長さが[AA]と[HAuCl4]の比によってどのように変化するかを調べた。[AA]/[HAuCl4] = 2.50-1.25では還元剤添加後3日目において直径3-4 nm、長さ>400 nmの金ナノワイヤー(NW-3)が得られ、その後の時間経過によるワイヤー径の変化はほとんど観察されなかった。一方、[AA]/[HAuCl4] = 0.50では還元剤添加後3日目において直径約4 nm、還元剤添加後22日目において直径約8 nm、長さ50-200 nmの金ナノワイヤー(NW-8)が得られた。 得られた金ナノワイヤーについて高分解能透過型電子顕微鏡観察を行ったところ、NW-3ではAu(111)に由来する格子縞のみが観察されたのに対し、NW-8ではAu(111)の他にAu(200)、Au(311)に由来する格子縞が多く観察された。これらの結果から、最終的に得られた金ナノワイヤーの太さの変化は、金前駆体と還元剤濃度比の調節によって生じる還元速度の変化および結晶成長方向の違いによって生じたと考えられる。 その他、短期間で金ナノワイヤーの太さを変える方法についても検討し、添加するリチウム塩のカウンターアニオンを変更する方法が有効であることを見出した。 以上のように、分子集合体上における金ナノワイヤー合成法を検討し、ワイヤー径および長さの制御を達成した。 本手法を分子鋳型の形態制御と組み合わせることで、さらに複雑な金ナノ構造体の形態制御が可能になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標の一つであった分子鋳型上における金ナノワイヤーの形態制御について、還元剤添加濃度の調節による手法を確立できたため。 また、添加する塩の組成により金ナノワイヤーの太さが変化するという興味深い知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
鏡像異性体過剰率によって形態を制御可能な分子鋳型を用いた、金ナノ構造体の合成を行う。また、本研究における金ナノ構造体の形態制御は近赤外領域において顕著な変化を引き起こすと考えられる。そこで、合成した金ナノ構造体について光吸収スペクトル測定や円偏光二色性スペクトル測定を行い、光学特性を評価する。 さらに、分子鋳型による金ナノ構造体の形成機構についても電子顕微鏡観察や各種分光測定から明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
次年度の研究に必要な消耗品購入および旅費に充当する予定である。
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Research Products
(2 results)