2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K23605
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 麻衣 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (70850238)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 人工胎盤 / 胎盤機能不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
病的胎盤に起因する早発型の重症妊娠高血圧症候群や胎児発育不全の児の予後は不良である。応募者は胎盤機能不全に対する「人工胎盤移植による胎盤機能再生医療」につき研究しており、今までiPS細胞から誘導した絨毛様細胞を用いて立体的胎盤器官芽を作成することに成功した。また絨毛様細胞の誘導日数条件を2日~8日まで2日刻みで検討し、誘導8日目の絨毛様細胞では立体的な器官芽が形成できないことを確認した。これは過期産の胎盤に相当する疾患モデルの可能性も示唆する。また引き続き作成した器官芽を免疫染色し、絨毛細胞のマーカーであるCK7、HLAG、HCGがそれぞれ特徴的な分布を示すことを確認した。引き続き生体への胎盤移植モデルを確立すべく、免疫不全マウスの子宮内への移植実験を行い成功例を得ることができた。しかしながら移植成功率は約20%と決して高いものではない。加えて最終的に目指すのはさらに手技として困難だと思われる胎盤への器官芽移植である。本研究は胎盤機能再生医療を実臨床へ展開するための更なる治験を得ることを目的とする。その概要はヒトiPS 細胞由来の絨毛様細胞を用いた立体的な胎盤の器官芽を作成し、1)作成した胎盤器官芽を超免疫不全マウスの子宮や胎盤へ安定して移植できる手技を確立し、2)その生着および胎盤機能の検証を行い、さらに3)胎盤機能不全モデルマウスを用いて人工胎盤移植により胎盤機能が再生することを明らかにすることである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
器官芽を安定して作成するためには常時使用できる細胞を維持することが必要である。本研究で使用する細胞の一つに血管内皮細胞があるが、臨床症例にばらつきがあり、細胞採取に適したものが少なく、常に細胞を維持することが困難であった。また妊娠免疫不全マウスへの移植手技確率のため、より小さいサイズでの器官芽作成やspheroid状の器官芽作成を試みた。いずれも作成までは成功したが、得られた検体が元来の器官芽と同じ細胞分布を示すのか免疫染色で検討が必要だが、検体サイズの小ささのため以前と同様の免疫染色が完遂できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究者は今年度研究施設を移動し、昨年度より約2倍の臨床症例獲得が見込まれる。引き続き症例不足が見込まれる場合には、科研費の残額にもよるが市販の細胞を購入し安定した細胞維持を試みる。また免疫染色の手技についてはほぼ習熟できており、今年度中には妊娠免疫不全マウスの胎盤移植が可能だと思われる。
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Causes of Carryover |
今年度の臨床症例が少なく、実験に必要な細胞が確保できなかったため。 次年度は今年度の2倍の臨床症齢が見込まれるため、そのサンプルを用いた細胞実験関係に使用する予定である。
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