2019 Fiscal Year Research-status Report
自己末梢血単核球の効率的な定着による重症下肢虚血の治療
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19K23615
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
東 倫之 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 流動研究員 (70846534)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 細胞移植 / 血管新生 / 重症下肢虚血 / ゲル / パラクリン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、移植した末梢血単核球が放出するサイトカイン、液性因子による重症下肢虚血治療である。末梢血単核球のハイドロゲル包埋により移植細胞の遊走を阻害し、移植部位に高効率に長期間留まることで、末梢血単核球が放出するサイトカイン、液性因子によるパラクリン効果増強が期待できる。 今年度は、末梢血単核球の回収・評価およびラット重症下肢虚血モデルの作製・評価法の確立を行った。まず、SDラット(10週齢、♂)から末梢血単核球をFicoll法により回収した。血球計数装置での評価により単核球成分が83±3%から96±2%に濃縮されることが分かった。次に、SDラット(8週齢、♂)の腸骨動脈を二重結紮し、大腿動脈・大腿深動脈を単結紮することで、重症下肢虚血モデルを作製した。血色不良ならびに60-70%程度の慢性的な血流の低下(レーザースペックル血流計による)を確認した。また、結紮10日後に5.0x10^6個の末梢血単核球を大腿筋に移植した場合、結紮28日後には未投与群と比較して50%程度の血流改善が見られた。再現性の高いプロトコルの策定ならびにそのコントロール実験が終了したため、来年度はゲル包埋末梢血単核球移植群を追加していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物を用いた実験であるため、再現性の確保が非常に重要である。ラットからの採血・末梢血単核球濃縮に関しては、血球計数装置の結果からも再現性よく行えるプロトコルが確立できた。また、ラット重症下肢虚血モデルの作製においても再現性良く60-70%程度慢性的に血流が低下させられるプロトコルが確立できた。移植箇所の検討も行ったが、治療効果が見られる移植箇所もおおむね見当がついた。基礎検討のめどがついたことから、本研究課題はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
硫酸セルロースベースのハイドロゲルにより末梢血単核球を包埋し、重症下肢虚血ラットに移植を行う。血流評価および組織染色により、パラクリン効果での治療効果を評価していく。
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Causes of Carryover |
動物実験の基礎検討が順調に進み、当初予定していたよりも少ないラット数でめどがついたため次年度使用額が生じた。次年度は、当該助成金を用いて、追加の免疫染色を検討している。
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